2006 Fiscal Year Annual Research Report
異常妊娠の胎盤のトロホブラスト機能に与える各種サイトカインの影響
Project/Area Number |
16591681
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
林 雅敏 国際医療福祉大学, 保健学部, 教授 (90164962)
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Keywords | macrophage colony-stimulating factor / liquid content / ovarian tumor / serous cystadenoma / mucinous cystadenoma / mature cystic teratoma / preeclampsia / amniotic fluid |
Research Abstract |
単球とmacrophageはさまざまなcytokineを放出し、腫瘍(新生物)に対する免疫学的な監視と抑制をする点で重要な役割を果たしています。新生物に対する免疫学的な抵抗活動はmacrophage colony-stimulating factor(M-CSF)によって著明に増強されます。良性卵巣嚢腫(新生物)の腫瘍内にある液体中M-CSF濃度を測定しますと漿液性嚢胞腺腫では中央値が12,513U/mL(range:0〜169,000U/mL)、粘液性嚢胞腺腫では915U/mL(range:0〜82,500U/mL)、成熟奇形腫では149U/mL(range:0〜6,230U/mL)であり、嚢腫の組織別にM-CSF濃度が有意差を示しました。これは腫瘍細胞組織からM-CSFが産生されたことを示し、さらに腫瘍の組織別にM-CSFの産生の程度が異なり、M-CSFによる組織特異的な免疫学的抵抗活動が展開されていることが実証されました。 妊娠38週の妊娠高血圧症候群妊婦から採取した羊水中M-CSF濃度の中央値が5,050U/mL(range:2,910〜25,300U/mL)で、対象の正常妊婦の羊水では3,740U/mL(range:910〜8,690U/mL)であり、妊娠高血圧症候群妊婦の方が有意に高値を示しました。単球,activated macrophage,血管内皮細胞,線維芽細胞の各種細胞からM-CSFが産生されます。ヒト羊水中でのM-CSFの増加は,主に羊膜からの放出,maternal-fetal interface直近の母体脱落膜からの分泌,および胎児の尿からの流入に起因します。羊水は母児間の免疫活動が進行する中枢部に位置していると考えられ,羊水中M-CSFの変動は血清中M-CSF,胎盤組織中M-CSFの変動と同等およびそれ以上の免疫学的意義を有する可能性があります。つまり、羊水中M-CSFの増加が妊娠高血圧症候群の発症過程で、何らかの免疫学的関与をすることが示唆されました。
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Research Products
(5 results)