2005 Fiscal Year Annual Research Report
HLAclassI分子による効率的な抗原提示を目指した頭頚部癌治療法の基礎的研究
Project/Area Number |
16591695
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
荻野 武 旭川医科大学, 医学部, 助手 (00312455)
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Keywords | HLA class I抗原 / 頭頸部癌 / 抗原提示 / 抗原プロセッシング / 免疫回避機構 |
Research Abstract |
プロテアソームサブユニット(LMP10、delta、MB1、Z)に対する抗体の作製を共同研究者のDr.Ferrone (Roswell Park Cancer Institute, NY, USA)と共同で行った。それらは、ホルマリン固定組織でも使用可能であり、今後の我々の研究に貢献するものと考える。 上咽頭癌36例、中咽頭癌34例、下咽頭癌45例においてホルマリン固定組織を用いて、HLA class I抗原と抗原提示に関与する分子の発現を免疫染色にて検討した。HLA class I抗原はそれぞれの病変部において約80%以上の症例において低下していた。また、上咽頭癌においてLMP2、TAP1、tapasinは約70%の症例で低下していた。HLA class I抗原の発現低下は上咽頭癌の不良な臨床経過と関連していたが、中咽頭、下咽頭癌において関連はみられなかった。 頭頸部癌細胞株10種におけるHLA class I抗原および抗原提示に関与する分子の発現に対するIFN-γの効果についてフローサイトメーターを用いて解析した。HLA class I抗原の発現はIFN-γの存在下ではHLA class I抗原の発現が上昇し、LMP2、TAP1、tapasinの蛋白の発現も上昇した。また、IFN-γの存在下ではLMP2、LMP7、TAP1とHLA class I抗原の発現に相関が認められた。 これらの結果から、HLA class I抗原や抗原提示に関与する分子の発現低下は頭頸部癌における免疫回避機構になっており、抗原提示に関与する分子の発現を正常化もしくはIFN-γを用いることによってHLA class I抗原の発現を上昇させることが可能で、その結果、免疫系から癌細胞は認識、排除されやすくなる可能性があると考えられた。
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Research Products
(5 results)