2004 Fiscal Year Annual Research Report
生体内における蝸牛内K^+循環機構の解明-内耳性難聴解明へのチャレンジ-
Project/Area Number |
16591696
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
千葉 敏彦 東北大学, 大学病院, 助手 (70280881)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊地 俊彦 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (70177799)
川瀬 哲明 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (50169728)
香取 幸夫 東北大学, 大学病院, 助手 (20261620)
吉田 尚弘 東北大学, 大学病院, 助手 (90291260)
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Keywords | 内耳 / 蝸牛 / 前庭 / 前庭移行細胞 / kir / Kir4.1 / 内耳内カリウムイオン循環 |
Research Abstract |
これまで我々は音受容に関る内耳内のカリウムイオン循環についての研究を進め、その中で特にカリウムイオン輸送に重要な働きをもつ内向き整流性カリウムチャネル(Kir)に注目した研究を行った。これまで内耳内におけるKirチャネル局在の報告としては蝸牛側壁血管条、らせん神経節辺縁細胞におけるkir4.1と蝸牛側壁線維細胞におけるKir5.1の局在が報告されていたが、我々は免疫組織化学的手法により蝸牛側壁外らせん溝細胞、有毛細胞支持細胞内におけるKir4.1チャネルの局在を見つけ、更に蝸牛基底回転ほど外らせん溝細胞樹状突起と有毛細胞支持細胞に多くのKir4.1が局在することを確認した。すなわちKir4.1チャネルは蝸牛内カリウムイオン循環にとって非常に重要なイオンチャネルであることを証明し、蝸牛頂回転より基底回転でより活発にカリウムイオンが循環する可能性を考えた。また新たに内耳前庭の移行細胞におけるKir4.1チャネルの局在も判明し、Kir4.1が蝸牛のみならず、前庭におけるカリウムイオン循環に関与している可能性を示唆した。方法は砂ネズミ、白色モルモット、マウスを用い、それぞれエーテル吸入後にネンブタールを腹腔内投与して麻酔し、PBS、10%ホルマリンで全身潅流固定後に蝸牛を摘出した。1%酢酸加10%ホルマリンにて外リンパ潅流し、EDTAで脱灰した。エタノール系列にて脱水後パラフィン包埋し、その後厚さ6μmの切片を作成し、抗Kir4.1抗体を一次抗体として24時間反応させ、さらに二次抗体と反応後DABで発色させた。その結果、砂ネズミ、モルモット、マウスのいずれにおける前庭移行細胞内でのKir4.1の発現が認められた。この結果により我々は内耳前庭では前庭暗細胞から分泌されたカリウムイオンが暗細胞の隣接細胞である移行細胞内のKir4.1によって吸収されている可能性があると考えた。
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