2005 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病モデルマウスにおける嗅覚系の変化に関する検討
Project/Area Number |
16591698
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹内 直信 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (40280945)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 健二 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (40334370)
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Keywords | アルツハイマー病モデルマウス / 嗅粘膜 / 嗅覚障害 / メチマゾール / 行動実験 / 免疫組織学 |
Research Abstract |
前年度(平成16年度)はアルツハイマー病モデルマウス(以下ADマウス)を用い、嗅粘膜および嗅球におけるタウ蛋白の発現を免疫組織学的に検討した。今年度は嗅粘膜が障害された際の嗅粘膜の再生が、ADマウスと正常マウスとで異なるかどうかの前段階の研究として、容易で再現性に優れた嗅覚障害モデルマウスの作成を試みた。 はじめに:抗甲状腺薬であるメチマゾール(methylmercaptoimidazole)の副作用として嗅覚障害があげられているが、詳細については知られていない。我々はマウスを用い、メチマゾールが嗅覚系に与える変化につき行動実験と免疫組織学的に検討したので報告する。 方法:マウス(C57BL/6、雄、8週齢)を用い、メチマゾールを腹腔内注射により投与した。メチマゾールの濃度は、50mg/kg、100mg/kg、300mg/kgとし、コントロールとして生食を注射した。投与翌日より二瓶選別法、すなわち0,1%vanillin水溶液と蒸留水を与えた際の摂取量を比較することにより嗅覚障害の程度を経時的に評価した。また嗅粘膜の変化を光学顕微鏡、透過型電子顕微鏡により、さらに細胞動態の変化をTUNEL法およびBrdU染色により検討した。 結果:メチマゾールの濃度300mg/kgを投与したところ、毒性が強く死亡するマウスがあった。濃度100mg/kg、50mg/kg投与マウスの、二瓶選別法では、0.1%vanillin水溶液と蒸留水の摂取量に明らかな差を認めず嗅覚障害ありと判断した。尚、コントロールマウスにおける摂取量の比較では、0.1%vanillin水溶液の摂取量が明らかに少なかった。メチマゾール投与後の嗅粘膜の変化を組織学的に検索してみると嗅上皮の脱落、変性を認めたが、呼吸上皮は正常に保たれていた。 考察とまとめ:メチマゾールは嗅上皮に作用し嗅覚障害をきたすものと考えられるが、全身的な作用も考慮に入れなければならず、今後の検討が必要と考えられた。
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