2004 Fiscal Year Annual Research Report
内耳特異的蛋白および難聴原因遺伝子のコードする蛋白に関する研究
Project/Area Number |
16591702
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
工 穣 信州大学, 医学部附属病院, 講師 (70312501)
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Keywords | 難聴 / COL9A3遺伝子 / IX型コラーゲン蛋白 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
内耳に特異的あるいは高発現している遺伝子は難聴の原因遺伝子である可能性が高く、実際にいくつかの難聴原因遺伝子が同定されている。COL9A3遺伝子は内耳に高発現している遺伝子群の1つであることがcDNAマイクロアレイによって確認されており、COL9A3遺伝子がコードするIX型コラーゲン蛋白は内耳コルチ器の蓋膜において、II型およびV型コラーゲンと共に重要な構成成分であることが知られており、重要な役割を担っていると予想される。 IX型コラーゲンと難聴との関連性を検討するためにIX型コラーゲンノックアウトマウスを用い蓋膜の形態学的異常の有無を観察するとともにABR(聴性脳幹反応)を用いて難聴の経時的変化を検討した。ノックアウトマウスは1ヶ月齢で難聴が認められ、月齢が進むにつれて難聴は進行し、徐々に高度感音難聴をきたすことが明らかになった。ノックアウトマウスの内耳蓋膜はコントロールのマウスの蓋膜に比べて、収縮、肥厚していた。さらにこの蓋膜の変化はbasal turnから始まり、徐々に頂部方向に進んでいることを示していた。月齢とともに蓋膜の形態異常の範囲が拡大する所見は、進行する感音難聴と関連があると考えられた。電子顕微鏡学的検討では蓋膜のコラーゲン繊維の不整が認められ、それが原因となって蓋膜の形態異常が引き起こされていると考えられた。 一方COL9A3遺伝子について、非症候群性難聴患者を対象に変異スクリーニングを行ったところ、2つの病的変異が同定された。いずれの変異もこれまでに報告がなく、コントロール群に発見されなかったことや、変異部位がマウスやニワトリなどの種を越えて保存されており機能的に重要であると考えられること、難聴のパターンがIX型コラーゲンのノックアウトマウスで認められた難聴のパターンと類似していることなどから難聴の原因遺伝子である可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)