2004 Fiscal Year Annual Research Report
好酸球優位型副鼻腔ポリープの作成と副鼻腔炎発生に及ぼす真菌の関与
Project/Area Number |
16591724
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
市村 恵一 自治医科大学, 医学部, 教授 (00010471)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西野 宏 自治医科大学, 医学部, 助教授 (50245057)
石川 敏夫 自治医科大学, 医学部, 助手
田中 秀隆 自治医科大学, 医学部, 助手 (50296109)
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Keywords | 好酸球性炎症 / 鼻茸 / 動物モデル / 副鼻腔炎 / 真菌 |
Research Abstract |
家兎をA・B・Cの3群に分け、B・C群には前処置として、卵白アルブミンの皮下注2週間および上顎洞内注入2週間を行い、アルブミン感作群とした。それぞれの家兎の上顎洞を麻酔下に経皮的に開放し,自然口を閉鎖した。その後起炎物質として、A・B群では白血球遊走物質であるFMLPや好酸球走化因子であるVGSGを、C群ではVGSGに加えMMP-2を、洞内に注入して創を閉鎖した。術後も起炎物質を週3回、経皮的に上顎洞内に注入し、4週間後に再開洞して洞粘膜を摘出した。標本は固定・染色の上、光顕所見をみた。 薬液を注入しなかった対照例では、アルブミン感作の有無に関わらずポリープの形成はみられなかった。FMLPの注入では、高濃度のものほどポリープの形成や好酸球の浸潤が増加した。またB群の方が粘膜浮腫は著明でポリープの形成も増えたが、A群に比べ好酸球の浸潤が特に増えることはなかった。VGSGの注入では、A群では好酸球浸潤はみられたもののポリープの形成率は低かった。しかしB群ではポリープ形成は増加し、濃度依存的に好酸球浸潤も増加した。またC群では、ほぼ全例で好酸球浸潤を伴うポリープの形成を認めた。 今回の結果では、鼻茸形成の各段階に各因子が対応している可能性が示唆された。すなわち、FMLPは非感染性粘膜炎症を誘起し、粘膜の浮腫性変化をもたらす因子となった。卵白アルブミン前処置とVGSGは好酸球浸潤を促し、引き続く好酸球炎症をもたらす因子となり、組織改変を助長したと考えられる。これらの因子は、鼻茸の成長の局面で主に作用すると考えられる。またMMP-2は基底膜主成分であるIV型コラーゲンを分解することにより、ポリープ新規発生の契機となり、更に細胞外マトリックスの代謝に影響を与えるため、リモデリングに関与してポリープの成長に寄与するのではないかと考察した。
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Research Products
(1 results)