2005 Fiscal Year Annual Research Report
後天性中耳真珠腫の発症・進展機序の解明と予防・治療に関する研究
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16591728
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
森山 寛 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (60125036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 博己 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (60234762)
田中 康広 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (40266648)
吉川 衛 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (50277092)
和田 弘太 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (20307482)
谷口 雄一郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (30307475)
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Keywords | 中耳真珠腫 / 粘膜再生 / 弛緩部陥凹 / immigration / 人工三次元的皮膚モデル |
Research Abstract |
平成17年度は、中耳粘膜の再生の実験や三次元皮膚モデルについて述べる。人工中耳粘膜の移植により粘膜を早期に再生させ含気化を確保することを試みており、現在まで中耳粘膜上皮細胞および線維芽細胞を用いた三次元的な人工中耳粘膜を作製したが、それは生体の中耳粘膜に近似した組織である。また家兎における粘膜移植実験では粘膜再生が組織学的に良好に行われていることが確認された。すなわち移植された人工中耳粘膜は形態学的観察において骨増生および肉芽増生が抑制され、正常に近似した形態が確認された。また粘膜移植後の中耳腔全圧最大値(粘膜におけるガス換気能の指標となる)を測定した結果、人工粘膜移植群における全圧は正常群と比較して有意な差を認めず、機能的にも充分な機能を有していることが確認された。 さらにAir-liquiud interface methodによる培養法を応用開発した三次元培養皮膚モデルを作製し、様々な試みにより真珠腫の成因や進展機序の解明を試みた。三次元培養皮膚モデルに穿孔様の欠損を作製すると欠損部から表皮は表皮下へ進展し、表皮のimmigrationを惹起する可能性のあることが示唆された。しかし真珠腫の成因の主たるものは内陥によるとされている。そこで三次元皮膚モデルを陥凹させた状態で培養した際の表皮の変化を観察し、上皮の陥凹というマクロ的な形態変化が表皮細胞に及ぼす影響について、分化や増殖のマーカーを用い検討を行った。その結果、表皮の陥凹自体は表皮細胞の分化を若干亢進させる可能性はあるものの、表皮細胞の増殖活性や機能的な変化には影響を与えないことが確認された。従って上皮の陥凹という形態的な変化が表皮細胞に直接的な影響を与えることはないと推測された。つまり真珠腫の形成や上皮の進展は、鼓膜上皮の陥凹だけでは起こりえず、炎症の持続などの別の要因が加わることが不可欠な条件と考えられた。
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Research Products
(2 results)