2004 Fiscal Year Annual Research Report
難治性副鼻腔炎における粘膜病変、特に鼻茸形成のメカニズムの解明
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16591729
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
鴻 信義 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (90233204)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 衛 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (50277092)
和田 弘太 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (20307482)
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Keywords | 好酸球性副鼻腔炎 / レクチン / 鼻茸 / シアル酸 |
Research Abstract |
副鼻腔粘膜局所への高度な好酸球浸潤を認める慢性(難治性)副鼻腔炎手術症例において、副鼻腔ポリープ病変をできるだけ基部から切断し摘出した。またポリープ周囲の副鼻腔粘膜もあわせて採取した。ポリープ病変も周囲の粘膜も、いずれも上皮下に著明な好酸球の浸潤が、形質細胞やリンパ球などの炎症細胞あるいはその他のアレルギー細胞の浸潤とともに、浮腫・うっ血した間質内に認められた。一方、上皮層には多列線毛上皮と扁平上皮または円錐細胞が混在していた。以前に我々が実験的に作製したポリープの形成過程においては、幼弱な細胞の上皮下への陥入が認められたが、難治性副鼻腔炎のポリープでは、一部に幼弱な上皮細胞が内方に向かい分化・発育している部分が存在し、そのさらに内方には、ときおり異型の分泌腺やあるいは拡張した腺管構造が認められた。同様の所見は周囲の副鼻腔粘膜においても少なからず見られた。このような組織像を各種レクチン(UEA-1,Con-A, PNA, MAA, WGA)で染色した。ポリープや周囲粘膜の表層細胞よりも、内方に発育している細胞の方がUEA-1の染色性が低く、生化学的にまだ未熟である傾向があるが、異型分泌腺の上皮はポリープ表層と同様のUEA-1染色性が認められ、生化学的にはほぼ成熟した状態と推察した。また、PNA, WGA染色によるシアル酸の分布も、異型分泌腺上皮とポリープ表層では類似していた。すなわち、難治性副鼻腔炎におけるポリープの発育過程は、上皮がまず内方へ発育し、その後分化してポリープの基部や上皮下の分泌腺を構成し、またこの細胞動態が反復されることで、ポリープ病変の再燃傾向や、ポリープの基質内粘液貯留を介した増大傾向に関与している可能性が示唆された。
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