2004 Fiscal Year Annual Research Report
人眼および緑内障動物モデル眼における点眼薬の後眼部移行と薬理作用発現条件の検討
Project/Area Number |
16591740
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
富所 敦男 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80227628)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
国松 志保 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (80301563)
松尾 寛 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (60332615)
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Keywords | 網膜血管 / エンドセリン / 緑内障 / 眼循環 |
Research Abstract |
(1)エンドセリン又はフェニレフリンによる網膜血管収縮に対する各種抗緑内障点眼薬の拮抗作用 ・家兎にエンドセリンを硝子体内に注射し、眼底写真上で網膜血管径の変化を経時的に測定した。そして、それに対する点眼による拮抗作用の有無をラタノプロスト、トラボプラスト、ウノプロストンなどのプロスタグランジン系抗緑内障点眼薬について検討した結果、点眼後に各薬剤が網膜あるいは視神経まで薬理学的作用を発現するに足る濃度で浸透することを確かめた。今後、猿眼に対して同様の実験を行うとともに、検討薬剤を追加する予定である。 (2)フェニレフリン点眼の人眼後眼部血流への影響 ・5%塩酸フェニレフリン点眼後のヒト視神経乳頭の血流の経時的変化をcolor Doppler法を用いて検討したところ、眼圧は有意に減少したが、視神経乳頭に有意は変化は認めず、臨床上、眼内手術前などに頻用されている5%塩酸フェニレフリン点眼が視神経乳頭血流低下など望ましくない作用を持たないことが示唆された。 (3)高眼圧動物モデルの作成及び高眼圧モデル眼における視神経乳頭の自動調節能と点眼薬による後眼部血流への影響 カニクイザルに対し線維柱帯光凝固を施行し、眼圧を数ヶ月間にわたり約30-40mmHgに持続的に上昇させる高眼圧モデルを作成した。このモデル眼で急速な眼圧下降を行うと、直後から約1分後までに視神経乳頭のレーザースペックル法による血流速度は前値に比べ約40-60%の増加を示し、その後の数分間で前値比約20-30%増加のレベルに復帰した。現在開発中のものを含めた抗緑内障点眼薬(ラタノプロスト、トラボプロスト、タフルプロスト)の点眼後に、高眼圧モデル眼とコントロール眼の視神経乳頭血流はいずれも増加したが、薬剤によって反応性が異なる傾向にあった。今後相違の詳細を解明するための追加実験を予定している。
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