2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16591743
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
片井 直達 信州大学, 医学部附属病院, 講師 (10260572)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 純 信州大学, 医学部附属病院, 助手 (70334894)
宮原 照良 信州大学, 医学部附属病院, 助手 (80362135)
|
Keywords | 網膜虚血再潅流 / 神経保護 / ヘムオキシゲナーゼ / siRNA |
Research Abstract |
虚血再灌流障害モデルの網膜では、ヘムオキシゲナーゼー1(HO-1)のmRNAおよび蛋白は虚血後6時間で増加し始め、12時間、24時間でピークとなったのに対してHO-2のmRNAおよび蛋白は変化がみられなかった。免疫染色においてHO-1は虚血後24時間でミュラー細胞に発現が認められ、HO-2は多くの網膜の細胞に発現がみられた。正常コントロール眼に比べて虚血後24時間においてTUNEL陽性細胞数すなわちアポトーシスを来した細胞の数は有意に増加していたが、S-100陽性細胞数すなわちミュラー細胞数に有意な変化はみられなかった。虚血後12時間、24時間においてHO-1特異的siRNA投与後のHO-1蛋白の発現はGFP siRNA投与後に比べて減少していた。免疫染色においてもHO-1 siRNA投与によりHO-1の発現が抑えられていた。24時間後のS-100陽性細胞数はHO-1 siRNA投与により有意に減少していた。HO-1 siRNA投与眼の虚血後24時間の網膜では網膜内層の浮腫、多数の炎症細胞の浸潤がみられた。網膜内のED-1陽性細胞数すなわちマクロファージ数はHO-1 siRNA投与により有意に増加していた。14日後、HO-1 siRNA投与眼では著明に網膜が障害され、その層構造は破壊されていた。以上の結果より、網膜虚血-再灌流障害においてHO-1はミュラー細胞に誘導された。また、網膜虚血-再灌流障害においてミュラー細胞数の減少はみられなかった。しかし、HO-1の誘導を阻害するとミュラー細胞数の減少がみられたので、HO-1がミュラー細胞の生存に関与していると考えられた。さらに炎症細胞の増加と網膜の破壊がみられたので、ミュラー細胞に誘導されるHO-1がミュラー細胞自身だけでなく網膜全体に対して保護的役割を果たしている可能性も考えられた。 また、HO-1の活性化薬剤であるヘミンを虚血前に投与すると、TUNEL陽性細胞は有意に減少し、網膜厚も有意に厚かった。ERGによる機能評価でも有意に障害は軽減された。
|
Research Products
(2 results)