2004 Fiscal Year Annual Research Report
常染色体優性遺伝視神経萎縮におけるOPA1遺伝子の関与と、形態的機能的検討
Project/Area Number |
16591746
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中村 誠 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (60283438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 養三 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30166136)
寺崎 浩子 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40207478)
近藤 峰生 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (80303642)
伊藤 逸毅 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (10313991)
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Keywords | 常染色体優性視神経萎縮 / 分子遺伝 / 遺伝子変異 / OPA1遺伝子 / ホットスポット / 孤発例 / OCT3 / 網膜神経線維層 |
Research Abstract |
本課題の研究目標は、日本人の常染色体優性視神経萎縮ではどれくらいの頻度で、どのようなOPA1遺伝子の変異が原因となって発症しているかを検討することである。また弧発例と考えられる視神経萎縮の症例でもOPA1遺伝子の変異により発症する場合があるかを検討することである。またOPA1遺伝子に変異が検出された症例については、詳細な形態的、機能的な検討を含め、臨床像の検討を行うことである。 これまでに19家系の視神経萎縮の症例のOPA1遺伝子を検討したところ、12家系に計10種類のOPA1遺伝子の変異をヘテロ接合で検出した。家族歴から優性遺伝と考えられた7家系中6家系に変異を検出し、本邦では優性視神経萎縮の原因はOPA1遺伝子の異常によることが多いことが明らかになった。また家族歴から孤発例と考えられた11例中5例に変異を検出した。これは優性視神経萎縮では重症度が症例により著しく異なるためと考えられ、視神経萎縮の症例では一見孤発例と思われても、遺伝形式を決定するために家族の詳細な調査が重要であると考えられた。10種類の変異のうち5種類は失欠または挿入の変異でそのうち4種類はフレームシフトを伴い、3種類はナンセンス変異、1種類はスプライスサイトの変異で1種類はミスセンス変異で、null変異が多いことによりhaplo-insufficiencyによる発症機序が示唆された。また既に海外で高頻度に認められているc.2708delTTAGの変異を3家系で認め、ホットスポットと考えられた。 Optical coherence tomography (OCT)3を用いて後極部網膜の各層の状態を解析した結果、軽症例を含めて全例で網膜神経線維層が著しく菲薄化しており、網膜外層の厚さは正常だった。優性視神経萎縮では網膜内では網膜神経線維層が主な障害部位であり、またOCTは診断にも有用であると考えられた。
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