2005 Fiscal Year Annual Research Report
β-シトリルグルタミン酸の鉄イオン依存性フリーラジカル発生におよぼす影響
Project/Area Number |
16591776
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
三宅 正治 神戸学院大学, 薬学部, 教授 (50093943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱田 美知子 神戸学院大学, 薬学部, 実験助手 (10248106)
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Keywords | β-CG / 金属イオンキレート作用 / Feイオン依存性フリーラジカル / Cu-β-CGキレート体 / SOD様活性 / XOD抑制活性 |
Research Abstract |
幼若ラット脳に高濃度存在し、脳の成長と共に急速に減少する物質を発見し、その構造をβ-citryl-L-glutamate(β-CG)と同定した。本化合物は、クエン酸とグルタミン酸とがアミド結合し、4つのカルボキシル基を持つ化合物である。その構造上の特徴から金属イオンとキレートする可能性を推定し、多種類の金属イオンとのキレート作用を同時に、簡便に検索できる実験系の確立を試みた。その結果、β-CGはFe^<2+>>Zn^<2+>,Ca^<2+>>Cu^<2+>の順で強くキレートするが、Fe^<3+>とはほとんどキレートしないことが判明した。 そこで、β-CGがFe^<2+>とキレートすることによって、Feイオン依存性のフリーラジカルの発生に影響を及ぼしている可能性が生じ、Feイオン依存性のフリーラジカルによる生体成分の傷害に対するβ-CGの影響について検討した。その結果、Deoxyriose Degradation、ブレオマイシン-鉄によるDNAの分解測定系で、β-CGの抑制効果が認められた。 近年、SOD様活性をもつ、低分子化合物の研究が盛んに行われている。そこで、β-CGの金属イオン-キレート体もSOD様活性があるのではないかと推定した。様々な金属イオンのキレート体について検討した結果、Cu-β-CGキレート体に強いSOD活性が認められた。しかし今回、superoxide anionの発生源としてxanthine/xanthine oxidase(XOD)系を用いたため、XODを抑制しても見かけ上SOD活性があるように見えるため、Cu-β-CGキレート体のXODに対する影響を検討した。その結果、Cu-β-CGキレート体に高いXOD抑制活性が認められた。従って、Cu-β-CGキレート体は、生体内で発生したフリーラジカルの消去というよりはむしろ、発生を抑制しているのではないかと考えられた。 In vitroでの実験をふまえ、胚性腫瘍細胞P19細胞を用い、過酸化水素による酸化ストレス負荷に対する金属イオン-β-CGキレート体の添加効果を測定した。また、P19細胞をレチノイン酸誘導により、神経細胞やグリア細胞に分化させ、2',7'-dichlorodihydrofluorescein diacetateにより、細胞内のフリーラジカル量の測定を行った。その結果、遊離のFe^<2+>に比べ、Fe^<2+>-β-CGキレート体はフリーラジルの発生を弱いが抑制した。
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