2006 Fiscal Year Annual Research Report
β-シトリルグルタミン酸の鉄イオン依存性フリーラジカル発生におよぼす影響
Project/Area Number |
16591776
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
三宅 正治 神戸学院大学, 薬学部, 教授 (50093943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱田 美知子 神戸学院大学, 薬学部, 実験助手 (10248106)
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Keywords | β-シトリルグルタミン酸 / 金属キレート体 / Cu-β-CGキレート体 / XODインヒビター |
Research Abstract |
培養P19細胞の酸化的ストレスに対するβ-CGあるいはその金属イオンキレート体の影響 我々はすでにP19細胞を神経細胞へ分化させたとき神経前駆細胞から神経細胞への分化の過程で、細胞死が起こることはよく知られており、その時にフリーラジカルが関与していることも推定されている。そこで、我々はP19細胞での細胞内フリーラジカルの量にβ-CGあるいは金属イオンーβ-CGキレート体がどのような影響を与えるか、細胞内酸化ストレスインディケーターである蛍光色素2'7'-dichlorodihydrofluorescein diacetate(H_2DCFDA)を用い検討した。 まず最初に、未分化P19細胞に過酸化水素を添加すると、細胎内でフリーラジカルが発生し、HzDCFDが酸化されて蛍光を発する。Fe^<2+>を添加すると、細胞内フリーラジカルは劇的に増加した。一方、Fe^<2+>-β-CGキレート体ではFe^<2+>による細胞内フリーラジカルの増加と比べて明らかに減少したが、過酸化水素単独のときよりも若干フリーラジカルが増加していた。Fe^<2+>-Deferoxamineキレート体でもほぼ同様の結果が得られたが、逆にFe^<2+>-EDTAキレート体では濃度依存的に顕著なフリーラジカル発生促進効果が見られた。このとき、各Fe^<2+>-キレート体中のFe^<2+>の濃度はキレート体の濃度の1/5〜1/10であった。このことから、Fe^<2+>-EDTAキレート体では、Fe^<2+>濃度を基準に考えると、フリーのFe^<2+>とほぼ同等の作用があると考えられた。一方Fe^<2+>-β-CGキレート体およびFe^<2+>-Deferoxamineキレート体では、遊離のFe^<2+>の作用に比べて極めてフリーラジカル発生促進活性が低いことが分かった。 次に神経細胞へ分化させたP19神経細胞では、Fe^<2+>を加えると細胎内のフリーラジカルが増加するのに対し、Fe^<2+>-β-CGキレート体やFe^<2+>-Deferoxamineキレート体ではフリーラジカル発生にほとんど影響しなかった。また、未分化のP19細胞ではFe^<2+>-β-CGキレート体を添加したとき、細胞内のフリーラジカル発生をcontrolよりもやや促進したが、神経細胞では減少傾向を示したものの、有意差は認められなかった。
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