2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16591810
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
内場 光浩 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (90315292)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡嶋 研二 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60152295)
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Keywords | 性差 / カルシトニン遺伝子関連ペプチ / 知覚神経 / 胃粘膜傷害発症 / ノックアウトマウス / 活性化白血球 / 水浸拘束ストレス / 除神経 |
Research Abstract |
生体侵襲反応の性差発現における知覚神経の役割を検討するために、ラット水浸拘束ストレス誘発胃粘膜傷害モデルを用いた検討を行った。水浸拘束ストレスによって形成される胃粘膜病変や、胃粘膜への好中球浸潤は雄ラットに比べ雌ラットではより軽度である。また白血球の活性化を抑制する胃粘膜中のプロスタサイクリンの代謝産物である6-keto-PGF1αの値も、雄では雌に比べ有意に低値であった。この差は知覚神経の活性化の差によるものと考えられ、知覚神経から放出されるカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)の値が雄では雌に比べ優位に低値であった。さらに卵巣摘出ラットでは雄と同程度の、また卵巣摘出+エストロゲン補充ラットでは雌と同程度のCGRP上昇をそれぞれ示し、胃粘膜病変や胃粘膜への好中球浸潤もそれぞれ同程度であった。カプサゼピンで化学的に知覚神経の除神経を行うと、雄雌でCGRP上昇の差は認められず、また、水浸拘束ストレスによる胃粘膜病変の差は認められなくなった。さらに、CGRPノックアウトマウスを用いた検討では、ワイルドマウスで認められる、水浸拘束ストレスによる胃粘膜病変や胃粘膜への好中球浸潤、胃粘膜中6-keto-PGF1α値などの雄雌での差はみとめられなかった。これらの結果から雄と雌との間ではエストロゲンによって知覚神経の活性化の程度が異なり、CGRPの放出の程度に性差が認められ、これが炎症反応を制御するプロスタサイクリンの産生の差につながり、ストレス性の胃粘膜障害発生の差となることが推察された。
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Research Products
(3 results)