2004 Fiscal Year Annual Research Report
歯の発生におけるエナメル蛋白の分子多様性と相互作用の意義に関する分子生物学的研究
Project/Area Number |
16591826
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
内田 隆 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50150305)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山西 恵美子 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (00363086)
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Keywords | エナメル質形成 / エナメル蛋白 / アメロゲニン / シースプロテイン / 分子多様性 |
Research Abstract |
エナメル蛋白の一次構造は種特異性に乏しい反面、mRNAの択一的スプライシングによる多様性を持つ。しかし、歯の発生の初期段階におけるこの分子多様性の意義はよく分かっておらず、また、これら多様な分子間の相互作用の役割についても、全く明らかにされていない。そこでまずアメロゲニンとシースプロテインについて、部位特異抗体を用いて歯の発生の初期段階におけるエナメル蛋白の発現様相を調べた。 アメロゲニンのうち、ブタ歯胚のエナメル芽細胞の分化期で最も早く発現したのは、25kDaアメロゲニンで、次いで6.5kDaアメロゲニンが発現し、18kDaアメロゲニンの発現は最も遅かった。また、6.5kDaアメロゲニンは、基質形成期に比べて分化期で強く発現していた。27kDaアメロゲニンは、タンパクの発現が免疫組織化学で確認できなかった。 マウス臼歯歯胚のエナメル芽細胞でシースプロテイン(アメロブラスチン)の発現を調べると、基質形成期では65kDaアメロブラスチンが発現しているが、分化期初期では65kDaアメロブラスチンは発現せず、35kDaアメロブラスチンが発現していた。ラット切歯の基質形成期エナメル芽細胞では、65kDaアメロブラスチンが発現しているが、分化期エナメル芽細胞においては、その他にコア蛋白として33kDa及び36kDaアメロブラスチンが発現していた。これらの33kDaおよび36kDaのアメロブラスチンは、65kDaアメロブラスチンのC端部を認識する抗体と反応したが、N端部を認識する抗体と反応しなかった。また、アメロブラスチンとアメロゲニンの発現時期を比較すると、アメロブラスチンはアメロゲニンの発現に比べやや遅れて発現していた。 以上の結果から、分化期エナメル芽細胞と基質形成期エナメル芽細胞では、アメロゲニン及びシースプロテインのmRNAの択一的スプライシングが異なると考えられ、また従来知られていなかったシースプロテインの分子型が存在することが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)