2005 Fiscal Year Annual Research Report
歯の発生におけるエナメル蛋白の分子多様性と相互作用の意義に関する分子生物学的研究
Project/Area Number |
16591826
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
内田 隆 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50150305)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山西 恵美子 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (00363086)
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Keywords | エナメル質形成 / エナメル蛋白 / シースプロテイン / エナメル芽細胞 / 象牙芽細胞 / 上皮-間葉相互作用 |
Research Abstract |
エナメル蛋白の一次構造は種特異性に乏しい反面、mRNAの択一的スプライシングによる多様性を持つ。しかし、歯の発生の初期段階におけるこの分子多様性の意義はよく分かっておらず、また、これら多様な分子間の相互作用の役割についても、全く明らかにされていない。本年度はシースプロテインについて、部位特異抗体を用いて歯の発生の初期段階におけるエナメル蛋白の発現様相をより詳細に調べた。 ラット切歯の分化期におけるエナメル芽細胞と間葉系細胞におけるシースプロテインの発現様式について詳細に検討した。内エナメル上皮細胞の細胞分裂が終了し、エナメル芽細胞へ分化を開始すると、分化期エナメル芽細胞に先立って、分化しつつある象牙芽細胞にシースプロテインが発現した。この発現は一過性で、分化期エナメル芽細胞がシースプロテインを発現する時期になると、象牙芽細胞の発現は消失した。分化期エナメル芽細胞では、ゴルジ装置が細胞遠心部に移動し、基底膜が連続した段階で、電顕免疫組織化学によりゴルジ装置にシースプロテインの免疫活性が検出できた。象牙芽細胞が分化し、象牙質基質を形成し始めると、象牙芽細胞に近接する歯髄細胞の一部がシースプロテインを発現するようになるが、この発現も一過性であった。ウエスタンブロットで切歯成長端のシースプロテインの発現について検討すると、ブレフェルディンA投与により、33kDaおよび36kDa蛋白の発現が増加したが、分泌型である65kDa蛋白はほとんど変わらなかった。これらの結果から、分化期の象牙芽細胞とエナメル芽細胞は、従来知られている以外の低分子型シースプロテインを発現し、これが上皮-間葉相互作用に関係している可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)