2004 Fiscal Year Annual Research Report
歯周組織破壊過程とToll-like receptorsを介する自然免疫機構
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16591827
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
宮内 睦美 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (50169265)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 郁子 広島大学, 病院・講師 (70136092)
工藤 保誠 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (50314753)
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Keywords | TLR4ノックアウトマウス / TRL4 / 自然免疫 / 免疫組織化学 / 動物実験 |
Research Abstract |
1)Toll like receptor-4(TLR4)の免疫組織化学的発現を検討した.TLR4は,マウス辺縁歯周組織では口腔歯肉上皮(OGE)の有棘層,歯槽粘膜結合組織内の血管内皮細胞や平滑筋細胞とその周囲の組織球に強く発現していた.興味深いことに,歯牙に面する領域での発現は他部位に比べ弱く,接合上皮(JE)歯冠頂側端部とJE直下結合組織内や歯周靱帯内の毛細血管にわずかに観察される程度であった.歯周組織は恒常的LPS刺激に対し,あまり過剰な免疫反応が生じないような状態(免疫寛容)にある可能性が示唆された. 2)マウスセメント芽細胞株(OCCM-30)と骨芽細胞株(ST2)のTLR2,TLR4-mRNA発現をRT-PCRで調べた.OCCM-30,ST2はTLR-2,4を恒常的に発現していたことから,両細胞は歯周病原細菌LPSに対し直接反応し,生体の防御反応や歯周炎発症に積極的に関わる可能性が示唆された. 3)Actinobacillus actionmycetemcomitans(Aa)-LPS刺激に対する反応性をOCC-30とST2で検討した.OCCM-30はCOX-2発現増加を介したPGE2の産生やサイトカイン発現を示したことから,骨芽細胞と同様にセメント芽細胞も炎症巣では歯周組織破壊に関与すると推察された. 4)Aa-LPS(100ng/ml)刺激によりOCCM-30におけるRANKL, OPG発現は共に一過性の上昇を示した.一方,ST2では2相性の強いRANKL発現増加を誘導したが,OPGレベルにはほとんど変化が観察されなかった.よって,セメント芽細胞と骨芽細胞では,TLR4を介した破骨細胞誘導能に若干の違いがある可能性が示唆された. 5)現在,マウスの歯周炎モデル確立をめざし,5mg/ml濃度のAa-LPSを歯肉溝から投与した後の歯周組織反応を観察中である.LPS投与3時間後では,JE部における好中球の増加と血管拡張,破骨細胞増加が観察されている.
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