2004 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝性・腫瘍性骨軟化症における象牙(骨)芽細胞機能欠損の分子機構と遺伝子治療
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16591828
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉子 裕二 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (20263709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
汪 華 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (50363081)
児玉 一郎 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (00325169)
田中 雅治 小野薬品工業(株), 福井安全性研究所, 課長
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Keywords | NaPiトランスポーター / 骨芽細胞 / アデノウイルス / 骨形成 / 培養 |
Research Abstract |
最近の遺伝性・腫瘍性骨軟化症の研究の進展により、硬組織局所におけるリン酸代謝調節機構が病態発現のみならず生理的にも重要であると予想される。本件では、骨芽細胞による基質石灰化に深く関与すると推定されるNaPiトランスポーターとしてPit1を、また上記の病態の責任因子として同定されたFGF23に注目した。Pit1およびFGF23cDNAはヒトセメント芽細胞腫より作製し、シャトルベクターにクローニングした後、Adeno-X^<TM>発現系を用い、それぞれの組換えアデノウイルスを得た。培養骨形成モデルとして、ラット胎仔頭蓋冠由来(RC)細胞とマウスMC3T3-E1細胞を用いた。両細胞における標的遺伝子の発現調節(Tet-offシステム)と導入効率は、β-ガラクトシダーゼ(βGAL)の組換えアデノウイルスを用いて検討した。RC細胞、MC3T3-E1細胞ともに10〜100pfu/cellの力価で高い感染率(〜70%)が得られ、発現レベルは培養期間を通して維持された。Tet-offシステムはノジュール形成にドキシサイクリンの影響が見られ、なお至適条件の検討を要する。Pit1アデノウイルスを導入することにより、細胞の増殖率に変化が見られた。これらの変化は、Piの取り込み実験により、少なくとも一部は細胞内Piレベルの上昇によるものと推察された。RC細胞の増殖はNaPiトランスポーターの選択的阻害剤であるPFAによっても変化したことから、骨芽細胞におけるPiの取り込み量は厳密に調節される必要があると思われる。これらの結果はFGF23のノックアウトとトランスジェニックマウスの両者に石灰化異常が生ずる事実と関係があるかもしれない。今後、Pi取り込みの調節のためにTet-offシステムを早期に導入し、FGF23とともにin vivo実験(疾患モデルを含む)に進展させる予定である。
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