2005 Fiscal Year Annual Research Report
粘膜上皮・線維芽細胞による酪酸誘導T細胞アポトーシス解除機構の解析
Project/Area Number |
16591834
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
落合 邦康 日本大学, 歯学部, 教授 (50095444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天野 修 明海大学, 歯学部, 教授 (60193025)
瀬戸 真太郎 明海大学, 歯学部, 助手 (50383203)
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Keywords | 酪酸 / T細胞 / アポトーシス / 線維芽細胞 / 接着分子 / 脂肪酸 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き線維芽細胞の株化を行い、健康成人抜去歯より6種類の線維芽細胞(以下N-FB)を分離し株化した。また、歯周病治療時に得た歯周組織より合計10株の線維芽細胞(以下P-FB)も同様の方法で株化した。それらの細胞を用い、短鎖脂肪酸に対する感受性の違いを検討した結果、全てのN-FBにおいて、5mMの高濃度酪酸に対してもviabilityに影響は見られなかった。一方、P-FBにおいては、10株中7株で1.25mMの酪酸濃度で細胞のviabilityが約30%低下し、5mMでは80%低下した。全ての細胞が5mM酪酸により生存数の顕著な減少が見られた。酪酸によるapoptosis誘導性においても同様の結果が得られた。株化線維芽細胞を用いて酪酸(0.5,1,2,5mM)とLPS共存におけるcytokine産生に及ぼす影響を検討したところ、いずれのN-FBにおいてもIL-1βおよびIL-6の産生が酪酸濃度依存的に増加した。一方、P-FBの内4株は低濃度(0.5mM)の酪酸処理でIL-1β産生が標準株の1.5倍程度に増加した。それ以上の濃度では、apoptosis細胞数が増加し、cytokine産生判定は困難であった。脂肪酸のtight junctionに及ぼす影響を分離した線維芽細胞を用いて行ったが、脂肪酸の種類および細胞株による顕著な差は認められなかった。また、線維芽細胞の細胞外matrix産生に及ぼす酪酸の影響をRT-PCRで検討したが、いずれの細胞外マトリックスも産生量に変化は認められなかった。細胞シートを用いて細胞間の接着性の変化をtight junction electrical resistance system(TJER system)を用いて検討したが、脂肪酸添加による電気抵抗性の変化は認められなかった。従って、脂肪酸は線維芽細胞の相互接着に影響を及ぼさないものと思われる。また、N-FBの23N細胞シート上に口腔上皮KB細胞を重層した口腔上皮及び線維芽細胞実験モデルで脂肪酸添加による電気抵抗性の変化をTJER system検討したが、電気抵抗性に変化は認められなかった。 今後、健康人および歯周病患者由来上皮細胞をレトロウイルス感染などによる株化を行い、口腔上皮細胞の短鎖脂肪酸への反応を詳細に検討する予定である。
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Research Products
(1 results)