2006 Fiscal Year Annual Research Report
エナメル質とエナメロイドの比較による結晶形成機構の研究
Project/Area Number |
16591844
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
笹川 一郎 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 教授 (00095134)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤井 純治 新潟大学, 理学部, 教授 (30101059)
熊倉 雅彦 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 講師 (60234514)
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Keywords | 歯 / エナメロイド / 硬骨魚類 / 石灰化 / 歯胚上皮細胞 / 免疫組織化学 / 微細構造 / 結晶形成 |
Research Abstract |
本研究の1年目では主にエナメロイド結晶が成長する時期の細胞の微細構造を観察し、結晶形成への細胞の関与について知見を得た。2年目ではエナメロイドとエナメル質の両方を持つ硬骨魚類ガーを主な対象とし、エナメル質の主要な有機基質であるアメロゲニンの存在と分布について研究が進展した。今年は最終年度なので不十分な点をさらに検討した結果、下記のような結果を得た。 硬骨魚類ガーパイクと同様にポリプテルスにもその歯軸部には薄いカラーエナメル質(collar enamel)がある。このエナメル質もエナメロイドより石灰化度は低い。対応する内エナメル上皮細胞には遠心側に刷子縁が認められず、エナメロイド側に比べ基質の脱却機能が弱いことが示唆される。 ガーと同様に哺乳類Amelogeninの部位特異抗体を用い、光顕と電顕免疫組織化学を行ったところ、AmelogeninのC末端に特異な抗体が硬骨魚類エナメル質基質と明らかに反応した。したがって、硬骨魚類ポリプテルスのエナメル質にも少なくとも哺乳類のAmelogeninのC末端にきわめて類似のドメインを持った上皮由来のAmelogenin様物質が存在していることが示唆される。この有機基質は成熟したエナメル質にも一部が残存しているようである。 哺乳類ではAmelogenin分子はエナメル質の初期結晶形成において基盤になるとされ、魚類エナメル質でもAmelogenin様物質が存在するので、同様な機能が考えられる。しかし、魚類のエナメル質では哺乳類に比べAmelogenin様物質の分解・脱却が不十分なためエナメル質結晶の成長が十分に進まず、一方、エナメロイド領域では結晶形成の足場となるコラーゲン線維が結晶形成後、ほぼ完全に分解し、同時にCaやPが上皮側から効果的に供給され、結晶成長が推進されると考えられる。
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Research Products
(6 results)