2005 Fiscal Year Annual Research Report
エナメル上皮腫の新規実験モデル系の確立と術後再発の制御を目指した基礎的研究
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16591850
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
小崎 健一 東京医科歯科大学, 硬組織疾患ゲノムセンター, 特任助教授 (50270715)
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Keywords | エナメル上皮腫 / 歯原性良性腫瘍 / 術後再発 / マウス皮下移植モデル / 不死化細胞株 |
Research Abstract |
本研究の目的は、代表的な歯原性良性腫瘍でありながら明瞭なmalignant potentialを有するエナメル上皮腫の予後を大きく左右する術後再発や悪性転化に関する分子機序の解明、ならびに同疾患に対する新たな治療法や再発制御法の開発である。これまでエナメル上皮腫の基礎研究に有用なin vitro実験系や動物実験モデルは皆無であったが、昨年度の本研究においてfollicular型とdesmoplastic型のエナメル上皮腫症例より樹立に成功した不死化細胞株HAM1とHAM2を用いて、in vivoマウス移植モデル系の確立を世界に先駆けて完了した。今年度の本研究においては、インフォームドコンセントを得たエナメル上皮腫症例の収集を進め、多施設の共同研究機関より新鮮切除組織8症例と臨床的データを具備するパラフィンブロック40症例を収集した。これらのヒト試料を用いて、研究責任者らがヒト転移性細胞株のマイクロアレイ法による網羅的発現解析で得た転移関連分子群(Cancer Res.,69:2535-2540,2000;Oncogene,20:4228-4234,2001)に関してRT-PCR法による発現解析ならびに免疫組織学的解析を進め、同関連分子の一つがfollicular型、plexiform型、acanthomatous型、desmoplastic型、およびこれらの組織型の混合型において高頻度に発現亢進している事を見出した。さらに、同関連分子に対する特異的阻害剤によってHAM1とHAM2のin vitro細胞増殖能、ならびにin vivo腫瘍形成能が著しく抑制される事を明らかにしつつある(投稿準備中)。以上の結果より、本研究課題で確立したヒト・エナメル上皮腫不死化細胞株HAM1とHAM2はエナメル上皮腫の基礎医学研究に有用な実験モデルであり、同モデル系を用いた解析によって見出した関連分子がエナメル上皮腫の治療や再発制御に有効な分子標的となり得ると考えられる。
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Research Products
(2 results)