2004 Fiscal Year Annual Research Report
スフィンゴ糖脂質による破骨細胞の機能制御を解明する
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16591860
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
坂井 詠子 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (10176612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 有三 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (20014128)
岡元 邦彰 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (10311846)
福本 敏 九州大学, 歯学研究院, 助教授 (30264253)
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Keywords | 破骨細胞 / LPS / TLR4 / 脂質ラフト / スフィンゴ糖脂質 |
Research Abstract |
グラム陰性細菌の外膜を構成する主要な成分であるリポポリサッカライド(LPS)は、骨吸収を促進する。近年、LPSに対する自然免疫システムが存在し、CD14だけでなくToll-like receptor 4 (TLR4)がLPSのsignal transducing receptorであることが明らかとなった。また一方、細胞膜上には「脂質ラフト」とよばれるコレステロールとスフィンゴ糖脂質(GSLs)に富む場所が存在し、多くの受容体やシグナル伝達物質が局在していることが明らかとなっている。マクロファージなどでCD14やTLR4が脂質ラフトに存在することから、本研究では、破骨細胞においてCD14、やTLR4および下流のシグナル分子が脂質ラフトに存在するかを明らかにし、破骨細胞の分化とこれらのシグナル伝達におけるGSLsの役割を調べた。Takeshita S.らの方法(J.Bone Miner.Res.15(8), 1477-88, 2000)に従って成熟破骨細胞を調整した後、M-CSFとRANKLを除いてα-MEMで2時間培養した。その後100ng/ml LPSで刺激を入れ30分後の細胞を回収し、1% Triton X-100が入った可溶化バッファーで細胞を破壊後、ショ糖密度勾配遠心を行った。超遠心後、遠心管の上層から等量に画分を1〜10にわけた。ラフトを決定するために、ビオチン標識コレラトキシンBサブユニットを用いて、ウェスタンブロッティング法でラフトに局在するスフィンゴ糖脂質であるGM1を検出した。GM1の存在する#3の画分が脂質ラフトであると決定した。脂質ラフトに局在することがわかっているflotillinは破骨細胞でも脂質ラフトに存在した。CD14やTLR4およびHSP70、HSP90も脂質ラフトに局在した。GSLsの役割を調べるため、GSLs合成阻害剤であるD-PDMPを培地に添加して、LPSによる成熟破骨細胞の延命効果への影響をTRAP活性染色陽性細胞数を計測して評価した。D-PDMPによって破骨細胞膜上のGM1の量は顕著に減少し、TRAP活性染色陽性細胞数も有意に減少した。以上のことより、破骨細胞におけるLPSに対する自然免疫システムには脂質ラフトやスフィンゴ糖脂質が重要な働きをしていることが明らかとなった。
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