2004 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化窒素による滑膜および軟骨細胞の生存と死の制御機構
Project/Area Number |
16591865
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
宮本 洋一 昭和大学, 歯学部, 助教授 (20295132)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高見 正通 昭和大学, 歯学部, 講師 (80307058)
上條 竜太郎 昭和大学, 歯学部, 教授 (70233939)
赤池 孝章 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教授 (20231798)
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Keywords | 軟骨 / インターロイキン-1 / 一酸化窒素 / スーパーオキサイド / パーオキシナイトライト / ミトコンドリア / ネクローシス |
Research Abstract |
我々は、インターロイキン-1β(IL-1β)が軟骨細胞に細胞死をもたらすことをすでに見出している。 そこで今年度は、IL-1βによる軟骨細胞死の実行分子および細胞死のメカニズムを解析した。その結果、軟骨細胞死はIL-1β処理24〜48時間後に急激に進行したが、これは一酸化窒素(NO)とスーパーオキサイド(O_2^-)およびそれらを産生するNO合成酵素(NOS)とNADPH-oxidase (NOX)に依存すること、さらにNOとO_2^-との反応産物であるパーオキシナイトライト(ONOO^-)を消去する尿酸によって細胞死が抑制され、IL-1β処理した細胞でONOO^-の生体分子の反応産物が検出されたことから、ONOO^-が細胞死の実行分子と考えられた。 IL-1βを処理した軟骨細胞では、1時間以内に誘導型NOS (iNOS)の転写および翻訳が誘導され、NOXの触媒構成要素であるgp91phoxの転写・翻訳も経時的に上昇した。これに対し、O_2^-消去酵素(SOD)あるいはグルタチオン合成酵素など抗酸化ストレス酵素の発現は変化しなかった。また、IL-1β処理により細胞内グルタチオンおよびATPレベルの低下ならびにミトコンドリア膜電位の破綻が観察された。ATPの低下およびミトコンドリア膜電位の破綻はNOSあるいはNOX阻害剤および尿酸によって抑制された。典型的なネクローシス像が観察されたが、アポトーシスは認められなかった。以上より、IL-1βによって発現誘導されるiNOS由来のNOとNOX由来のO_2^-によって生じるONOO^-がミトコンドリア障害を引き起こし、ATPレベルを低下させることによって軟骨細胞にネクローシスをもたらすことが明らかとなった(論文投稿中)。
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Research Products
(6 results)