2005 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化窒素による滑膜および軟骨細胞の生存と死の制御機構
Project/Area Number |
16591865
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
宮本 洋一 昭和大学, 歯学部, 助教授 (20295132)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片桐 岳信 埼玉医科大学, ゲノム医学研究センター, 助教授 (80245802)
高見 正道 昭和大学, 歯学部, 講師 (80307058)
新木 敏正 日本薬科大学, 薬学部, 教授 (90138420)
守村 直子 理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 研究員 (00349044)
上條 竜太郎 昭和大学, 歯学部, 教授 (70233939)
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Keywords | 細胞・組織 / シグナル伝達 / ストレス / 生体分子 / 生理活性 |
Research Abstract |
ガス状ラジカル分子である一酸化窒素(NO)は、種々の組織・細胞において、細胞の生存シグナルとして働く一方、細胞死誘導因子となることが知られている。しかし、これらの相反する作用がどのような機序で生じるかは明らかでない。関節リウマチや変形性関節症などの関節疾患では、関節を構成する滑膜細胞および軟骨細胞の両者において一酸化窒素(NO)の産生が充進する。この時、滑膜細胞は増殖あるいは生存するのに対して、軟骨細胞は死滅する。我々は、NO由来のニトロソ化産物が細胞・組織保護作用を有するのに対して、NOによるニトロ化反応は細胞障害性を有することを報告してきた。そこで、滑膜細胞と軟骨細胞におけるニトロソ化とニトロ化に注目して両細胞の生と死の振り分け機構を解明することを目的として本研究を進めた。その結果、ヒト、ラット、マウス由来の軟骨細胞において炎症性サイトカインによってNO産生を亢進させると、細胞死が誘導されることが分かった。そこでマウスおよびラットの軟骨細胞を用いて細胞死のメカニズムを解析したところ、食細胞型NADPH-oxidaseの発現および活性が亢進し、これによって産生されるスーパーオキサシイドラジカルとNOの反応産物であるパーオキシナイトライトが軟骨細胞のミトコンドリアを傷害し、ATP枯渇によるネクローシスを引き起こすことを明らかにした。軟骨細胞ではニトロ化された核酸やタンパク質の蓄積が認められた(論文発表済み)。滑膜細胞でのNOの役割については、本研究においてリウマチ患者の滑膜から樹立に成功した滑膜細胞株(投稿中)を用いて検討していく予定である。さらに今後は、軟骨細胞および滑膜細胞におけるニトロ化タンパクおよびニトロソ化タンパク質の同定を行い、その生物活性を明らかにしたいと考える。
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Research Products
(2 results)