2005 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子導入法を用いた歯周組織細胞分化の分子機構の解明
Project/Area Number |
16591869
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
大井田 新一郎 鶴見大学, 歯学部, 助教授 (10114745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
唐木田 丈夫 鶴見大学, 歯学部, 助手 (40367305)
片桐 岳信 埼玉医科大学, ゲノム研究センター, 助教授 (80245802)
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Keywords | BMP / TGF-β / 転写調節因子 / 歯根膜細胞 / 分化誘導 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
歯周組織細胞を用いたこれまでの研究から以下のような結果が得られた。 (1)ヒト培養歯根膜細胞の性質 歯根膜由来の培養細胞は線維芽細胞ようの形態をし、アルカリホスファターゼ(ALP)活性が高く、β-グリセロリン酸存在下での長期培養で石灰化するなど、一見培養骨芽細胞と類似した性質を示す。しかしながら、さまざまな性質を検討した結果、BMPとTGF-βに対する反応性が著しく異なることが明らかとなった。すなわち、骨芽細胞系の培養細胞ではBMPでALP活性が上昇し、TGF-βでその活性が強く抑制するのに対し、歯根膜由来の培養細胞では逆にTGF-βでALP活性が上昇し、BMPはむしろその活性を抑制されることが明らかとなった。また長期培養における石灰化の促進作用も歯根膜由来の細胞ではBMPよりもTGF-βの方が効果的であった。 (2)ヒト培養歯根膜細胞へのスタチンの作用 スタチンはBMPを誘導する化合物として知られているが、TGF-βも同時に誘導することが明となった。その結果、骨芽細胞でも歯根膜細胞でもこの二つの分化誘導因子が競合し、複雑な作用を示す。株化された骨芽細胞系の細胞でこの分子機構の詳細を検討した。今後歯根膜細胞でもその機構を検討する。 (3)歯根膜細胞の分化能とセメント質の分化マーカー ラットを用いたチタンインプラントの実験から、歯槽骨との間に歯根膜組織を介して、移植物の表面にセメント質様の硬組織が形成される。形態学的にはこの硬組織はセメント質である可能性が高いと思われるが、現在のところ骨とセメント質を区別する有効なマーカーがない。そこで、現在セメント質、象牙質および骨からタンパク質を抽出し、質量分析機により、セメント質特有のタンパク質を検索中である。 (4)BMPで誘導される遺伝子 骨芽細胞および歯根膜細胞をBMP、TGF-βで分化誘導したとき発現する遺伝子をDNAチップで検索し、いくつかの遺伝子についてさらにPCRで発現を確認し、転写因子や未知の遺伝子をいくつか選択した。今後これらの遺伝子について、その役割を明らかにしてゆきたい。
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Research Products
(3 results)