2006 Fiscal Year Annual Research Report
耳下腺のホスホリパーゼD活性化シグナリングと開口分泌
Project/Area Number |
16591875
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
神谷 真子 朝日大学, 歯学部, 助手 (80181907)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 厚 朝日大学, 歯学部, 教授 (60067098)
亀山 泰永 朝日大学, 歯学部, 助教授 (50161245)
八代 耕児 朝日大学, 歯学部, 講師 (50182316)
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Keywords | ホスホリパーゼD / ホスファチジン酸 / イノシトールリン脂質 / 頂端側形質膜 / 分泌顆粒 |
Research Abstract |
本研究はラット耳下腺のin vivo開口分泌における頂端側形質膜ホスホリパーゼD(PLD)の機能解明を目的としたものである。前年度までに、本酵素の活性調節機構として、PLD自身の代謝産物による正のフィードバックや、ホスファチジルイノシトール(PI)からホスファチジルイノシトール-4,5-二リン酸(PIP2)への量的バランスシフトによる活性化の可能性を指摘した。本年度は逆にPLD代謝産物であるホスファチジン酸(PA)が、イノシトールリン脂質の代謝動態におよぼす影響を観察し、PLDとその活性調節系との相互連絡について考察した。その結果、頂端側形質膜において、PAはPIP2合成酵素であるホスファチジルイノシトール-4-リン酸キナーゼ(PIP kinase)を活性化するが、同時にその基質であるホスファチジルイノシトール-4-リン酸(PIP)の供給系(PI-4kinase)には抑制的に作用することが明らかとなった。一方、頂端側形質膜の融合相手である分泌顆粒では、PAの有無に関わりなくPI 4-kinaseのみが高い活性を示し、PIPは分泌顆粒膜中で蓄積傾向にあると考えられた。このことから,PLD代謝産物であるPAは、頂端側形質膜のPIP-kinaseを活性化してPIP_2レベルを上昇させることで、PLD自身の活性増幅に寄与している可能性が示唆された。この際、活性化されたPIP-kinaseがその機能を果たすには、基質であるPIPの安定的供給が必要と考えられ、膜融合時には分泌顆粒膜がPIPの供給源のひとつとなる可能性も示唆された。次年度は、これまで得られた知見を総括し、遊離細胞をもちいてPLDの活性調節と開口分泌との機能的相関を明らかにする予定である。
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