2007 Fiscal Year Annual Research Report
耳下腺のホスホリパーゼD活性化シグナリングと開口分泌
Project/Area Number |
16591875
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
神谷 真子 Asahi University, 歯学部, 助教 (80181907)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 厚 朝日大学, 歯学部, 教授 (60067098)
亀山 泰永 朝日大学, 歯学部, 准教授 (50161245)
八代 耕児 朝日大学, 歯学部, 講師 (50182316)
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Keywords | シグナル伝達 / ホスホリパーゼD / イノシトールリン脂質 / ホスファチジン酸 / 細胞骨格 / ホスホリパーゼA_2 |
Research Abstract |
これまでに、ホスホリパーゼD(PLD)とイノシトールリン脂質代謝系がそれぞれの代謝産物を介して互いに活相増幅を行っている可能性を指摘できた。本年度は、PLDのもう一つの活性化因子である遊離脂肪酸の生成系との関連を確認するとともに、これまでに得られた知見を総括し開口分泌との相関を検討した。以下にその概要を示す。 1.耳下腺における脂肪酸生成系とPLD ホスホリパーゼA_2(PLA_2)は、形質膜、ミトコンドリアなどで性質を異にする酵素の局在を報告していた。特に形質膜PLA_2はその特性から細胞内で恒常的に活性を有する状態であると推測された。従って遊離脂肪酸は本酵素により常時供給可能であると考えられる。一方本酵素はホスファチジルイノシトール(PI)にはほとんど作用せず、PLD阻害因子であるPIの除去効果は期待できない。 2.開口分泌との相関 (1)単離分泌顆粒を用いたin vitro膜融合系において、モデル形質膜のPLD精製酵素処理および代謝産物の外挿で、膜融合が亢進した。 (2)PIP_2はPLD活性化の他に、細胞内骨格系タンパク質との直接相互作用も報告されている。そこでin vitro膜融合系においてFアクチンを添加したところ膜融合の抑制が、コルヒチンを添加したところ融合促進がそれぞれ観察され、PIP_2のレベル上昇が細胞骨格系の再構成を介して開口分泌に影響する可能性も指摘できた。 (3)in vitro膜融合系で示唆された結果をin vivoにおいて検討した。市販のキットを用いてPIP_2を耳下腺遊離細胞に直接導入してその細胞内濃度を高めると、イソプロテレノール刺激時のアミラーゼ分泌が促進された。 以上の結果から、頂端側形質膜PLDはホスホリパーゼA_2およびイノシトールリン脂質代謝系との密接な相互連絡のもとに、唾液開口分泌の調節系の一員となっている可能性が示唆された。
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