2005 Fiscal Year Annual Research Report
交感神経による骨代謝制御におけるニューロペプチドYの役割
Project/Area Number |
16591876
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
新井 通次 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (20097538)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸苅 彰史 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (80126325)
茂木 眞希雄 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (00174334)
蛭川 幸史 愛知学院大学, 歯学部, 助手 (60340147)
森田 あや美 愛知学院大学, 歯学部, 助手 (70301629)
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Keywords | 骨芽細胞 / 破骨細胞 / 交感神経 / ニューロペプチドY / イソプレナリン / 骨代謝 / cAMP |
Research Abstract |
ニューロペプチドY(NPY)は交感神経におけるノルアドレナリンのco-transmitterである。現在,NPY受容体には5つのサブタイプが知られている。マウス骨髄(BM)細胞およびそのストローマ細胞株のST-2細胞では、NPY-Y1受容体が発現していることを認めた。また、骨芽細胞株MC3T3-E1細胞においてβ-アドレナリン受容体(β-AR)作動薬がNPY-Y1受容体の発現を誘導・促進することを認めた。そこで、マウスBM細胞において、β-AR作動薬のイソプレナリン(ISO)、活性型ビタミンD3(VD)および遊離破骨細胞誘導因子(sRANKL)による破骨細胞形成に及ぼすNPY併用の影響を検討した。その結果、NPYは、ISOによる破骨細胞誘導を有意に抑制したが、VDおよびsRANKLによる誘導には影響を及ぼさなかった。3つの破骨細胞誘導系には、ISOはGsタンパクと共役するβ-ARを刺激して、またVDは細胞内受容体と結合し核に移行して、RANKLの発現の促進およびOPG(RANKL受容体のデコイ受容体として破骨細胞形成抑制する因子)産生の抑制することで破骨細胞形成を誘導し、sRANKLは破骨細胞前駆細胞に直接作用し破骨細胞へ分化誘導するという違いがある。すなわち、NPYは、β-AR刺激によるcAMP産生を介した破骨細胞形成のみに影響し、VDによるRANKL産生機構およびRANKLの破骨細胞前駆細胞から破骨細胞への分化には影響を及ぼさないことが示された。そこで、BM細胞において、ISO、NPYの単独および併用によるRANKLおよびOPG産生を検討したころ、ISO単独で認められたRANKL産生の増加およびOPG産生の減少が、いずれもNPYの併用により抑えられた。また、ISO単独によるcAMP産生の増加もNPYの併用により抑えられた。一方、NPY単独では、RANKL、OPGおよびcAMP産生に対する作用は認められず、破骨細胞形成に対する作用が認められなかったことと一致した。最後にBM細胞の破骨細胞誘導実験系にアデニル酸シクラーゼ活性を促進するフォルスコリンを添加したところ、破骨細胞形成が認められた。すなわち、骨芽細胞/ストローマ細胞において、cAMP産生の増大が一連の破骨細胞形成に関わる反応を引き起こすことを確認した。本研究は、破骨細胞形成におけるISOとNPYの相互の作用として、ISOが誘導する破骨細胞形成を、NPYはそのcAMP産生を抑制することで抑制的に作用することを示した。
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