2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト口腔癌細胞におけるスフィンゴ糖脂質遺伝子の発現制御と抗癌剤抵抗性に関する研究
Project/Area Number |
16591879
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
金子 正範 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (10214470)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井ノ口 仁一 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (70131810)
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Keywords | スフィンゴ糖脂質 / GM3 / 抗癌剤抵抗性 / 口腔扁平上皮癌 / SAT-1遺伝子 / シスプラチン |
Research Abstract |
細胞膜の超分子複合体であるラフトにみられるスフィンゴ糖脂質の中でGM3はガングリオ系の最初に合成される単純なガングリオシドであり,細胞の癌化により発現量が増えることが知られている.本研究はヒトの口腔癌の細胞株を対象にしてGM3の発現量と抗癌剤抵抗性との関連を明らかにすることを目的とし,本年度は以下の実験を行った. JCRB細胞バンクより14種類のヒトの口腔扁平上皮癌細胞株を入手して培養を行った.その内訳は,Ca9-22,HSC-2,HSC-3,HSC-4,Ho-1-N-1,Ho-1-U-1,KON,Kosk2-c13,SAT,SAS,SCC4,SKIV3,OSC-19,OSC-20である. 各細胞株の産生する総脂質を抽出後にガングリオシド画分を分離抽出し、抗ガングリオシド抗体を対照として薄層クロマトグラフィーを用いて組成を検出し同定した. 各細胞株のGM3合成酵素(SAT-1)遺伝子の発現量をReal time PCR法を用いて測定した. 抗癌剤抵抗性試験では,抗癌剤は臨床に広く用いられているシスプラチンを選択した.シスプラチン濃度を段階的に希釈した培地で3日間培養後,試薬としてセルカウンティングキットを用いて吸光度測定を行い,生存細胞数比から容量-効果曲線を描くことで50%有効濃度を推定した. それらの結果は以下のようであった.GM3産生量とSAT-1遺伝子の発現量は相関傾向を示しており,細胞株により量的差異がみられた.SAT-1遺伝子の発現量とシスプラチンの50%有効濃度は正の相関傾向を示した. ヒトの口腔癌細胞株におけるGM3合成酵素遺伝子の発現量とシスプラチン抵抗性は密接な関連性があり,両者は正の相関傾向を持つことが現時点の結論である.
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