2004 Fiscal Year Annual Research Report
タイト及びアドヘレンスジャンクション構成蛋白の過剰発現による口腔癌浸潤抑制の試み
Project/Area Number |
16591886
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
奥 尚久 高知大学, 医学部附属病院, 助手 (20363286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 哲也 高知大学, 医学部, 教授 (00200824)
植田 栄作 高知大学, 医学部附属病院, 講師 (10203431)
鎌谷 宇明 高知大学, 医学部附属病院, 助手 (00315003)
笹部 衣里 高知大学, 医学部附属病院, 助手 (40363288)
立石 善久 高知大学, 医学部, 助手 (20372732)
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Keywords | タイトジャンクション / 口腔扁平上皮癌 / 浸潤 / 転移 / siRNA / クローディン / Laminin-5 γ2鎖 / MMP-2 |
Research Abstract |
株化口腔扁平上皮癌細胞の中で、In vitroにおいて高浸潤性を示すOSC-4およびNOS-2、さらには、低浸潤性を示すOSC-7を用いて、Tight junctionの構成タンパク質であるOccludinやClaudinの発現と癌細胞の浸潤能との関わりについて検討し、以下の結果を得た。 1.各細胞株をヌードマウスの舌に移植し、形成された腫瘍胞巣における細胞間接着分子の発現を免疫組織学的に検討した結果、OccludinはNOS-2、OSC-4では弱く、OSC-7では強く発現されており、逆に、Claudin-1、Claudir-4およびLaminin-5γ2鎖は、NOS-2およびOSC-4では強く、OSC-7では弱く発現されていた。 2.腫瘍の辺縁部と中心部における各蛋白の発現をWesternblot法にて検討したところ、Occludinはいずれの細胞においても中心部と辺縁部において同程度に発現されていたが、Claudin-1、Claudin-4およびLaminin-5γ2鎖は、NOS-2およびOSC-4の辺縁部で強く発現されており、逆に、Claudinの発現を負に制御する転写因子であるSnailの発現はNOS-2およびOSC-4の辺縁部では減弱していた。 3.培養上清中のMMP-2活性および分解型Laminin-5γ2鎖は、OSC4では認められたものの、NOS-2およびOSC-7では認められなかった。 4.OSC-4にClaudin-1に対するsiRNAを導入すると、上清中のMMP-2活性および分解型Laminin-5γ2鎖レベルが低下するとともに、浸潤能も低下した。 以上より、浸潤能の強い扁平上皮癌細胞では、Snailの発現低下によりClaudinの発現が亢進し、そのClaudinによって活性化されたMMP-2によりLaminin-5γ2鎖が切断され、Freeとなったγ2鎖がIntegrin receptorを介して癌細胞の浸潤能を亢進させることが示唆された。これらのことから、Claudinの発現抑制は癌の浸潤・転移を抑制する新しい戦略となりうると考えられた。
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