2004 Fiscal Year Annual Research Report
cPLA2アセチル化が紫外線によるDNA障害に及ぼす影響
Project/Area Number |
16591890
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
田代 茂樹 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (20300882)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佛坂 由可 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (10244089)
片山 郁夫 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (80295089)
角 忠輝 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (80284701)
中村 卓 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30172406)
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Keywords | アセチル化 / cPLA2 / DNA障害 / Tip60 / 紫外線 |
Research Abstract |
1.cPLA_2と結合するTip60は紫外線刺激によって活性化されることが報告されている(EMBO 21:1704-1712, 2002)。このデータからcPLA_2も紫外線により活性が調節されることは十分に推察できる。実際に紫外線によりcPLA_2がリン酸化され活性化が示唆される報告(BBA 1229:23-33, 1996)もなされている。紫外線によるDNA鎖の切断を修復する機構として、相同的DNA組換え、または、末端同士の再結合があり、特に高等真核生物では、末端再結合による修復が顕著である。また近年、修復機構に関与する遺伝子産物が癌抑制遺伝子産物、転写抑制因子などと相互作用することが報告され、癌、免疫、種々の遺伝子疾患との関連で注目を浴びている。Tip60は転写抑制因子とリンクして遺伝子発現調節を行っていることが報告された(Cell 110:55-67, 2002)。そこで本研究ではDNA障害時に核内に移行したcPLA_2およびTip60によってアセチル化されるcPLA_2が修復機構やアボトーシスにどのように影響するか、特に転写関連因子との相互作用とその制御について解明する。 2.アセチル化が転写制御に深く関与していることはヒストンやp53、Mdm2などの報告から明らかであり、DNA障害におけるcPLA_2の果たす役割を解明する上で重要である。またcPLA_2のアセチル化部位についてはその三次元構造からアミノ末端および、カルボキシ末端のそれぞれ3個のリジンを予想し、現時点ではアミノ末端に絞り、解析している。DNA障害時におけるcPLA_2の挙動がクロマチン構造に変化を及ぼし、転写関連因子と連携することによって後に起こる細胞の変化を矛盾なく説明できると考えている。 3.従来cPLA_2は膜リン脂質の代謝という点のみでの機能が重視されていたが、本研究ではcPLA_2に核内での転写因子制御の働き、および紫外線によるDNA障害時にはアセチル化による細胞運命の決定の働きがあることを明らかにしようとするもので、cPLA_2研究および紫外線によるDNA障害時研究に新たな光をあてるその先駆となるものと信じている。
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