2004 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性サイトカイン刺激後の破骨細胞形成を伴う歯根嚢法胞拡大の分子機構の解明
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16591896
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
前野 正夫 日本大学, 歯学部, 教授 (60147618)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小木曽 文内 日本大学, 歯学部, 助教授 (70147643)
本橋 正史 日本大学, 歯学部, 講師 (90102615)
鈴木 直人 日本大学, 歯学部, 講師 (10226532)
関 みつ子 日本大学, 歯学部, 助手 (20226640)
加藤 英美 日本大学, 歯学部, 助手 (90297838)
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Keywords | 歯根嚢胞 / インターロイキン-1α / 骨芽細胞 / 石灰化nodule形成 / アルカリホスファターゼ / I型コラーゲン / 骨シアロタンパク / オステオポンチン |
Research Abstract |
目的:歯根嚢胞および根尖性歯周炎の拡大機構に及ぼすIL-1αの影響を骨芽細胞による骨形成能の視点から明らかにするために,骨芽細胞のin vitroにおける石灰化nodule形成と,その形成に必要な酵素および細胞外マトリックスタンパク(ECMP)の遺伝子発現に及ぼすIL-1αの影響を調べた。また,軟骨細胞のECMPの遺伝子発現に及ぼすIL-1αの影響も併せて検討した。 方法:骨芽細胞としては,ラット骨肉種由来の株化骨芽細胞(ROS 17/2.8)を,また軟骨細胞としては,ヒト軟骨腫由来の株化軟骨細胞(OUMS-27)を用いた。細胞を刺激する際のIL-1αの濃度は0〜100 U/mlとし,培養期間は10または14日間とした。石灰化nodule形成はアリザリン赤染色によって,ECMPの遺伝子発現は半定量的またはreal-time RT-PCR法によって調べた。 結果:IL-1α添加によって骨芽細胞による石灰化nodule形成の時期が遅れ,また石灰化nodule中のカルシウム量はコントロールと比べて低い値を示した。アルカリホスファターゼ(ALPase)活性値は,14日間の培養期間中すべてにおいてIL-1αによって有意に低下した。この所見は,石灰化物を形成しない軟骨細胞においても同様であった。ECMPの遺伝子発現では,骨芽細胞のtype I collagenの発現は10日間の培養期間中すべてにおいてIL-1αによって有意に低下し,培養初期にのみ発現したbone sialoproteinもIL-1αによって低下する傾向を示した。一方,osteopontinの発現は10日間の培養期間中すべてにおいてIL-1αによって有意に上昇した。軟骨細胞のtype II collagen, aggrecanおよびlink proteinの発現は,IL-1αの濃度依存的に有意に低下し,その作用機序はBMP-2のautocrine作用による受容体の発現低下に伴って起こることが認められた。 結論:IL-1αは骨芽細胞のALPase活性値およびtype I collagenの産生低下を介して骨形成を抑制することが示唆された。また,IL-1αによる骨形成の阻害が,歯根嚢胞の拡大を助長することが示唆された。
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Research Products
(2 results)