Research Abstract |
新生児包皮由来正常ヒト表皮角化細胞(NHEK(F)),ヒト舌由来扁平上皮癌細胞株(SCC-25)に高線量のUV照射を行い,Rad9 mRNAの発現を検討した。NHEK(F)にUVBを照射し,0.5,2,4,6時間培養した後に細胞を回収しRad9の発現量を半定量的に比較した。照射0.5時間後ではRad9の発現量に明らかな差は認められなかった。また照射2,4時間後においても,細胞内のRad9発現量は1500,3000mJ/cm^2の照射でコントロールのおよそ1.5倍とわずかな増加を認めた。照射6時間後では,全ての照射で細胞内Rad9発現の明らかな増大(>2.0倍)を認め,3000mJ/cm^2の照射ではおよそ5倍の増加を認めた。SCC-25にUVBを照射し,6.0時間培養後,細胞を回収し,Rad9の発現量を半定量的に比較した。細胞内のRad9発現量は1500mJ/cm^2の照射でコントロールのおよそ5.0倍の増加を認めた。UVC照射し,2.0時間培養後,細胞を回収し,Rad9の発現量を半定量的に比較した。細胞内のRad9発現量は250mJ/cm^2で1.5倍を示し,照射に伴って増大した。5500mJ/cm^2の照射では約180倍の増大を示した。 また,NHEK(F),正常ヒト歯肉線維芽細胞(HGF-1),ヒト舌由来扁平上皮癌細胞株(SCC-9,SCC-25),ヒト皮膚悪性黒色腫細胞株(G-361),ヒト歯肉由来不死化ケラチノサイト(NDUSD-1)を使用しRad9および細胞周期制御因子(p53,p21,p16,p38,ATR,Chk1,Cdc25B,CyclinB1,CyclinD1,PCNA)のタンパク発現を検討した。細胞にX線照射(2Gy),ヒドロキシウレア(1mMまたは10mM)処理といった刺激を与え,Rad9の発現の変化を検討した結果,刺激に対するRad9の発現は細胞や刺激の種類により異なり,ヒト舌由来の扁平上皮癌細胞株であるSCC-9とSCC-25においても発現は異なっていた。その他の細胞周期制御因子の発現も異なっていた。また副甲状腺ホルモン関連蛋白(PTHrP)の細胞周期制御への関与が予想されたが,PTHrPの発現も細胞や刺激の種類により異なっており,他の蛋白との関連は明らかではなかった。
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