2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16591929
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
中田 和彦 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (70261013)
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Keywords | 歯髄 / 歯髄細胞 / 担体(Scaffold) / 細胞・担体複合体 / 人造組織 / ティッシュ・エンジニアリング / 歯髄組織再生法 / 歯内療法 |
Research Abstract |
「歯髄組織再生のための細胞と担体の複合体の開発」において、「細胞」に関しては、すでに前年に実際の患者からインフォームドコンセントを得たうえで提供された試料(矯正歯科治療のために抜去が必要とされた臨床的健全歯の歯髄組織)から、ヒト歯髄(HDP)細胞を分離培養している。そこで、本年度は「担体」に関して検索を行った。「担体」については、将来的な臨床応用の観点から生体吸収性材料とし、すでに組織工学的に一定の評価がなされてきているもののうち、生体由来の(1)コラーゲン、および化学合成の(2)ポリ乳酸、ポリグリコール酸を候補とした。はじめに、ブタ皮膚由来のコラーゲンを原材料として、塩抽出、濃縮、中性化(pH7.4)した後、凍結乾燥、整形(直径10mm、厚さ1mmのディスク状)を行い、電子線(5kGy)で滅菌してコラーゲン・スポンジを作製した(日本ハム(株)中央研究所)。まず、電気泳動法による成分分析を行った結果、コラーゲンの組成は、タイプIが約80%、タイプIIが約20%であった。また、抽出に用いたNaClの残留濃度は約2〜3%であり、実用上その影響は無視できるレベルと考えられた。つぎに、走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して、調製したコラーゲン・スポンジの表面性状の観察を行った。その結果、コラーゲン・スポンジの表面性状はヒダ上で、約100μm程度の不整形な小孔を有する網目構造であった。また、コラーゲンの密度は中心部で高く、辺縁部に向かって徐々に粗になり、細胞の進入が可能なスペースが増大していることが明らかとなった。一方、ポリ乳酸、ポリグリコール酸については、乳酸・グリコール酸共重合体(シグマ・アルドリッチ社)を原材料として、コラーゲンの場合と同様に、スポンジ状の「担体」の調製を現在行っている。そして、作製したこれらの「担体」とHDP細胞を使用した「細胞・担体複合体」の調製法について検討中である。
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