2005 Fiscal Year Annual Research Report
オールセラミッククラウンの支台形態と破壊強度に関する応力解析的研究
Project/Area Number |
16591932
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石橋 実 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (40231138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠原 紳 東北大学, 病院・講師 (70169407)
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Keywords | オールセラミッククラウン / 破壊強度 / 支台形態 / 破壊試験 / 応力解析 / 辺縁彎曲 / 唇舌径 / たわみやすさ |
Research Abstract |
オールセラミッククラウンの破壊強度と支台形態の関係を明らかにするため,天然歯にリン酸セメントで合着したオールセラミッククラウンの破壊試験を行った.破壊時の荷重と支台歯およびオールセラミッククラウン各部寸法の関連について相関分析により統計的に調査した.その結果,オールセラミッククラウンの破壊強度と隣接面歯頚部辺縁彎曲の度合いとの間に負の相関が観察され,クラウン唇舌径と歯冠長の比(歯冠の厚みの度合い)と破壊強度の間に正の相関が観察された.この結果は天然歯を支台歯として使用しているので,形態以外の様々なノイズが影響していると考えられ,象牙質の支台にリン酸亜鉛セメントで合着されたオールセラミッククラウンを模したモデルを用いて応力解析を行った.クラウン・セメント・支台歯の結合が離れない連続体モデルでは破壊に至るような応力集中が見られないことから,ククラウン・セメント・支台歯が固着していない接触解析用モデルを用いた.モデルは平均的な大きさの上顎中切歯の形態を再現した三次元メッシュをもとに作成し,隣接面歯頚部辺縁彎曲の深さを変えた場合と,クラウンの高さ一定で唇舌径を変えた場合の解析をおこなった.その結果,オールセラミッククラウン辺縁に発生する引っ張り応力の値は隣接面歯頚部辺縁彎曲の深さが大きいほど増加し,歯冠の厚みの度合いが大きいほど減少した.解析結果から荷重による支台歯の変形を検討したところ,彎曲の深いクラウンでは支台の変形により辺縁を開く力が発生し,唇舌的に小さなクラウンでは支台歯が大きくたわむことがわかった.以上のことからオールセラミッククラウンの破壊強度は隣接面歯頚部辺縁彎曲の度合いと唇舌的な歯冠の厚みの影響を受けることが示され,隣接面歯頚部辺縁彎曲はオールセラミッククラウン辺縁を引き伸ばす力と関連し,唇舌的な歯冠の厚みは支台歯のたわみやすさと関連することが推測された.
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