2005 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の顔貌回復における補綴装置の意義(動的表情評価システムの構築)
Project/Area Number |
16591934
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
鈴木 哲也 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (60179231)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水口 俊介 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (30219688)
関田 俊明 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (90236092)
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Keywords | 高齢者 / 審美性 / 全部床義歯 / 顔貌 / 人工歯排列 / 咬合高径 |
Research Abstract |
16年度に引き続き、全部床義歯の咬合高径と前歯部人工歯唇舌的排列位置を変化させた場合の顔貌の変化を検討した。 無歯顎患者10名の被験者に対し、使用中の義歯を基準とし、咬合高径(以下OVD)および上顎前歯部人工歯排列位置(以下LLP)を変化させた11種類の研究用義歯を用意した.これらの義歯を順に装着させ、閉唇状態での正貌、右45度斜位、右側貌(以下側貌)を撮影し、評価用写真を作製した.試験者(歯科医師20名)に評価用写真を撮影方向別に呈示し、「老けて見えるもの」,「自然に見えるもの」を各々2枚選択させた.試験者が最初に選択した写真には2点、次に選択した写真には1点を与え、「老いスコア」、「自然さスコア」を算出した.基準となる義歯をコントロールとして、Wilcoxonの符号付順位検定にBonferroniの不等式を適用し,多重比較を行った. OVD-6mm、-3mm及び+6mmでは、すべての撮影方向において、老いスコアが有意に大きくなった.更に、OVD-6mm及び+6mmで、すべての撮影方向において、自然さスコアが有意に小さくなった.老いという点からは低い咬合高径に注意が向くが、高過ぎる咬合高径も不自然さを招き、かえって老けて見られた.また、OVD0mmかつLLP-2mmでは老いスコアの上昇、自然さスコアの低下が認められたものの、OVD+3mmと咬合高径を挙上すると、正貌及び側貌で、コントロールとの有意差がなくなった.これは前歯部の豊隆が不足した場合、咬合高径を高く設定してしまう危険があることを示唆している. 以上の結果から、咬合高径は低すぎる場合のみならず、高すぎる場合でも自然さを欠き、老けてみられる.咬合高径と前歯部人工歯配列位置は相互に関連し合い、審美評価に影響を与えることが示唆された.
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Research Products
(2 results)