2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16591937
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
平野 滋三 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 助手 (10262205)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早川 巌 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (60014172)
高橋 英和 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (90175430)
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Keywords | 人工歯 / 剪断 / 義歯 / 応力 / レジン歯 / 陶歯 / 食品 / 線維性食品 |
Research Abstract |
義歯用人工歯材料の違いが、食品の剪断性に影響を及ぼすかどうかを調べるために、新たな試験方法を開発し、いくつかの人工歯材料および食品を用いて実験を行った。 まず、人工歯材料として陶材とアクリルレジンを、食品試料には義歯装着者が咀嚼しにくいと考えられる繊維性食品(茎わかめ)と粘着性の食品(グミ)を用い、試験的に実験を行った。その結果、陶材が食品を剪断するのに必要な力は、アクリルレジンのものと比べて有意に小さかった。茎わかめにおいては、同様の有意な結果が得られたが、粘着性の食品においては一定の傾向が見られなかった。このことから,今回開発した試験方法は、人工歯材料が食品の剪断性に影響を及ぼすかどうかを調べるために有効であることが示唆された(2004IADR、ハワイ)。 次に、同様の実験方法で、試験食品の種類を増やして実験を行った(たくあん、なす、チーズ、かまぼこ、ソーセージ)。その結果、陶材が食品を剪断するのに必要な力は、アクリルレジンのものと比べて有意に小さかく、おしんこにおいてその差が最も大きかった。また、たくあんおよびなすの剪断に必要な力は、他の食品のものと比べて有意に大きく、陶材のような硬い人工歯材料は、一般に義歯装着者が咬みきりにくいとされる繊維性の食品の剪断に有効であることが示唆された(2004IPC)。 しかし、試作した実験装置では測定の再現性を高めることが難しかったため、食品のテクスチャー測定に用いられている方法に準じて試験方法を改良した。新たな方法では、人工歯試料の形態と配置を人工歯の咬頭と窩に近似させ、すべての食品試料を同じ面積の剪断面で剪断させた。人工歯材料には市販されている人工歯を整形したものを用い(ACE、ENDURA、Veracia、Real Crown)、試験食品にはたくあん、チーズ、かまぼこ、ソーセージを用いた。その結果、食品の剪断に必要な力は、すべての食品において、人工歯材料により有意に影響を受けた。また、たくあんの剪断に必要な力は、他の食品試料に比べ著しく大きかった。つまり、人工歯の材質の違いは,食品の剪断性に有意な影響を及ぼすことが示された。特に陶材は他の人工歯材料に比べ、咬みきりにくいとされている線維状食品を有意に小さい力で剪断した。(2004日本歯科医学会) 今後は、食品試料を線維状食品に絞って実験を行い、人工歯材料のどのような性質が食品の剪断性に影響を及ぼしているのかについて、さらに検討を加える予定である。
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