Research Abstract |
本研究では,我々が開発した簡便かつ客観的に睡眠時ブラキシズム(Brux)を評価することの出来る小型貼付型Brux測定装置(BiteStrip-)を用いて,(1)青年層のBrux頻度と頭頚背部の筋痛との関連を検討する,(2)高頻度で生じたエラーの原因と思われる東洋人特有の皮膚抵抗に対応した改良型装置の開発を行った. 対象は,高校生ならびに専門学校生のうち,本研究の参加に同意が得られた195名ならびに96名である.これら被験者にBiteStrip-を配布し,咬筋相当部皮膚に貼付して就寝させた.また,信頼性(κ=0.59)があらかじめ確認されている2名の検者が頭頸背部筋の圧痛検査を行った.この際,片側15部位の圧痛の有無を評価し,圧痛ありの部位の合計を圧痛点数とした.BiteStrip-によるBrux評価は,Bruxイベントの回数が40,75,125回をCut-offとした4段階にてそれぞれスコア0から3として評価し,Spearmanの順位相関係数にて関連性を検討した. 装置未返却者29名と,エラー表示もしくは表示なし52名を除いた高校生127名と専門学校生83名を最終被検者とした結果,両被検群ともに,総圧痛点数とBrux頻度の間に有意な相関は認められなかった(高校生/専門学校生:p=0.61/0.11,ρ=-0.05/0.18).これより,青年層においてはBrux頻度と頭頸背部の筋痛には関連が認められないことがわかった. 一方,この疫学研究より得られた結果,すなわち高頻度にエラー表示が発生する問題点を解決すべく,起動プログラムならびに皮膚通電感知センサーの仕様変更を行い,改良型Brux測定装置を開発した.そこで,新旧BiteStrip-の測定結果を比較して本改良点の効果について検討した.Brux陽性と診断された6名に5日間,新旧両方のBiteStrip-を貼付させ,その結果を比較した.6名が連続使用した5日間のうち,旧BiteStrip-では,エラー表示は14個(46.7%)であったのに対し,新BiteStrip-では1個(3.3%)と明らかにエラー発生率は低下した(p<0.01,Chi-Square test).これより新BiteStrip-は,旧型に比べ,東洋人に用いてもエラー表示が格段に少なく,優れた性能を示した.
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