2005 Fiscal Year Annual Research Report
高耐食性と迅速骨結合性を有するインプラント用チタン合金の開発
Project/Area Number |
16591956
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
中川 雅晴 九州大学, 大学院・歯学研究院, 講師 (80172279)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松家 茂樹 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助教授 (00108755)
有働 公一 山口大学, 医学部, 助教授 (60145266)
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Keywords | チタン / チタン合金 / 生体活性 / 表面改質 / 水熱処理 / インプラント / 骨接触率 / 骨結合 |
Research Abstract |
チタンは、優れた耐食性、生体適合性を有することから、生体用金属材料として、人工股関節、歯科用インプラントなどに利用されている。材料を生体内に埋入するため、生体親和性、骨との結合性が要求される。チタンは、他の材料に比べ、骨との親和性がよいとされているが、埋入後の経過が悪く摘出を余儀なくされるケースもある。本研究は、インプラント用のチタンおよびチタン合金に迅速かつ強固な骨結合を付与するための表面改質処理法の開発を目的としている。 現在、期待されている表面改質法の一つに、チタン表面に直接アパタイト層を析出させるアルカリ処理とよばれる方法がある。この処理を行ったチタンは、生体内で骨類似のアパタイト層を形成し、骨が直接これに結合するため、人工材料を強く骨に固定できる。チタン表面に骨類似のアパタイト層が形成するか否かは、疑似体液中に材料を浸せきして、表面のアパタイト析出状態を調べることによって可能である。 本研究では、体液中におけるアパタイトの生成機構に着目し、あらかじめチタン表面に微量のCaを固定させるために10mmol/Lの塩化カルシウム水溶液を用い、200℃で水熱処理を施した。この処理を施した、純TiおよびTi合金は、アルカリ処理を行ったものに比べ、ラットの骨髄から採取した骨芽細胞を用いて、塩化カルシウム処理を行った試料上での初期接着、増殖速度を検討した結果、アルカリ処理、未処理のものよりも高い初期接着率、増殖率を示した。上記処理を施したチタンインプラントをラットの脛骨に埋入し、in vivoの骨結合状態の組織観察を行った結果、塩化カルシウム処理チタンは、埋入1週目からインプラントと骨の直接結合が認められ、未処理のチタンの骨接触率が5.7%であったのに対し、塩化カルシウム処理チタンは55%以上の値を示し、4週目ではほぼ100%に達した。以上の結果から、塩化カルシウムを用いた水熱処理はチタンに対して有効な生体活性を付与する処理法として期待できることが示唆された。
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Research Products
(6 results)