2005 Fiscal Year Annual Research Report
大臼歯欠損(短縮歯列)が唾液中ストレスホルモンに及ぼす影響
Project/Area Number |
16591973
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
前田 照太 大阪歯科大学, 歯学部, 助教授 (10103110)
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Keywords | 短縮歯列 / 唾液 / コルチゾール / クロモグラニンA / 遊離端義歯 / 精神的ストレス |
Research Abstract |
後方大臼歯欠損による短縮歯列に対して補綴処置を行わないことを容認する学派が、ヨーロッパで見られる.しかし、片側性、両側性遊離端欠損症例において、機能的、感覚的な障害を訴える患者群が少なくなく、中には全身随伴症状や不定愁訴を訴える場合があるが,義歯の治療によりそれらが消失または改善することを経験する.このことは短縮歯列による咬合支持の消失、下顎位などの変化が全身状態と何らかの関連性を持っていると考えられるが,科学的な裏づけを得るにはいたっていない. 本研究は、片側または両側大臼歯部欠損患者に、可徹性局部床義歯による処置を行い、その前後の唾液中のストレスホルモン(コルチゾール濃度およびクロモグラニンA(CgA)濃度)を測定し、短縮歯列とストレスとの関連を見出すことである. 本申請者の所属する講座の医員5名を選び、それぞれ大臼歯欠損患者5名ずつを割り当てた(計25名の患者).同一日の下記の時点で唾液の採取を行った. 研究に対する同意を得られた直後,問診直後,治療直前,帰院直前また義歯製作過程で、アポイントごとに唾液の採取を行った.但しサーカディアンリズムを考慮して、アポイントは、ほぼ同じ時間とした. その結果、来院初日の研究に対する同意を得られた直後が最もコルチゾール、CgAともに高い値を示した。このことは来院すること自体がかなりのストレスであると考えられた。来院初日に比較して他の来院日はコルチゾール、CgAともに有意に低い値を示した。また義歯装着後その義歯に問題がなくなった時点で最も低い値を示した。またその中から義歯を3日間使用せずに生活できることに同意の得られた患者6名のコルチゾールは義歯の使用時より高い値を示した。これは遊離端義歯が、ストレス緩和に寄与したと考えられるが、他に多くの要因も関連していると考えられ、これらの要因を排除するための実験モデルを構築する必要性が伺え、現在検討中である.
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Research Products
(5 results)