2005 Fiscal Year Annual Research Report
FGF2含浸ゼラチンハイドロゲルによる歯槽骨再生現像と分子生物学的機序の解明
Project/Area Number |
16591986
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
永田 昌毅 新潟大学, 医歯学系, 助手 (10242439)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 律男 新潟大学, 医歯学系, 教授 (20143795)
田畑 泰彦 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (50211371)
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Keywords | 歯槽骨 / 再生 / FGF-2 / ゼラチンハイドロゲル / 徐放 / 分子生物学 / 再生医学 |
Research Abstract |
平成16年度に確立したrhFGF-2徐放による歯槽骨再生モデルを用いてその組織学的・分子生物学的機序を解析した。 rhFGF-2徐放開始後7〜14日目にかけてrhFGF-2徐放群の骨膜は対照群に比して有意に高い細胞増殖活性(PCNA index)を示し、既存骨と連続した仮骨の形成を伴う骨膜の多層化をみとめた。また、増殖している骨膜細胞のアルカリホスファターゼ酵素活性は陽性であることが示された。すなわちin vivoにおいてrhFGF-2は骨膜中の骨芽細胞を増殖させ、数を増した骨芽細胞が活発に仮骨形成を形成し、その結果として再生骨が形成されることを組織学的に示した。次に、骨形成過程にあるrhFGF-2徐放開始7日目の骨膜におけるALP,OSP,OCN,FGFR-1〜3およびRunx2の遺伝子発現分布を検出するために、それぞれのmRNAに対するDIG標識cRNAプローブを作製し、in situハイブリダイゼーションを行った。その結果、仮骨表層の細胞のみOCNが、骨膜内層にOPNが、骨膜全層にALPが発現し、成熟した骨芽細胞が仮骨の最表層に配列し、骨膜外層に向かって骨芽細胞の成熟度が低下していくことが示された。FGFR1-3はこの成熟した骨芽細胞に強く発現するとともに線維性骨膜層の紡錐形細胞にもFGFR-1,-2陽性細胞の点在をみとめた。Runx2はFGFRの発現と一致した発現傾向を示した。これらの結果より、rhFGF-2の直接の作用である細胞分裂励起活性が成熟した骨芽細胞と一部の紡錐形細胞により強く及ぼされることが示唆された。次に、この骨膜よりlaser micro dissection法を用いて組織特異的なRNAの抽出を行い、リアルタイムRT-PCR法によりこれら遺伝子の発現を定量した。対照として、ゼラチンキャリアのみを埋入した群(対照群)の骨膜および同週齢(正常群)の正常骨膜より同様の手法でRNAを抽出し、同じくリアルタイムRT-PCRを行った。その結果、rhFGF-2徐放群のRunx2発現は対照群に対して有意に高値を示し、ALP,OSP,OCNの発現も高値を示した。また、FGFR-1〜3の発現も有意に高値を示した。対照群と正常群の間には解析した全ての遺伝子で有意な違いをみとめなかった。このことからin vivoの環境においてはrhFGF-2の骨膜内徐放は骨膜組織の骨形成活性を高めることが遺伝子発現の観点からも示された。
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