2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16591992
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山村 功 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (90332733)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 和宏 京都大学, 再生医学研究所, 教授 (50127114)
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Keywords | 顎関節症 / ストレス蛋白 |
Research Abstract |
熱ショック蛋白(以下HSPと略す)は、ストレス蛋白とも呼ばれ、外界の様々なストレスから細胞を保護する機能をもち、生体の生理学的状態を維持、機能させるに不可欠な蛋白質で、循環器疾患・自己免疫疾患およびケロイド形成においてHSPの病態の関与が解明されている。顎関節症の病態解析においても、NOをはじめとする酸化ストレスや機械的ストレスなどの関与が明らかとなってきたが、そのストレス反応が、顎関節組織(滑膜組織)およびその構成細胞(滑膜細胞)レベルにおいて、いかなるメカニズムで制御されているかは未だ不明である。本研究は、顎関節滑膜組織におけるHSPの機能的役割を明らかにするとともに、顎関節症の発症およびその病態におけるHSPの関与、ひいてはHSPの機能を利用した顎関節疾患の治療法の開発を目指して遂行してきた。 ヒト顎関節症および顎関節滑膜骨軟骨腫症患者から採取した滑膜組織由来の培養滑膜細胞において、HSP27、HSP70およびHSP90の発現をRT-PCR法にて確認し、本細胞が外的ストレスに対応するために、これらのHSPを発現しているものと考えられた。このうちHSP27は女性ホルモンであるエストロゲンのシグナル伝達における関与が示唆されており、これら培養ヒト顎関節滑膜細胞においてエストロゲンの受容体であるER-αおよびER-βが発現していることをRT-PCR法にて確認した。エストロゲン刺激によるHSP27の発現に及ぼす影響を検討したところ、β-エストラジオールの用量依存性にHSP27の発現誘導がRT-PCRにて確認されたが、Northern-Blot法では明らかな差異は認められなかった。この相違に関して、今後さらなる研究を進め、ヒト顎関節滑膜細胞におけるHSP27を介したエストロゲンの影響を検討し、顎関節疾患におけるストレス蛋白の役割を解明していく予定である。
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Research Products
(6 results)