2005 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌におけるangiogenin遺伝子の発現と機能解析
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16591999
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
岸本 晃治 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (40243480)
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Keywords | angiogenin / 口腔癌 / 血管新生 / 増殖 / 浸潤・転移 |
Research Abstract |
口腔癌患者におけるangiogeninの発現性を解析し、angiogeninが口腔癌の転移および予後を規定する因子となりうるかを検討した。 対象は、正常口腔粘膜上皮5例、上皮異形成14例、当科で根治的治療を施行した口腔扁平上皮癌症例60例である。これらの症例の生検および手術材料からパラフィン包埋切片を作製し、1次抗体には抗angiogenin抗体を用い、Elite ABC system (Vector Laboratories)によりangiogenin蛋白の免疫組織染色を行った。angigenin蛋白発現の判定は、細胞2000個につき染色性の判定を行い25%以上に中等度以上の染色性が認められた場合を陽性とし、それ以外を陰性とした。 Angiogeninの発現は、正常口腔粘膜上皮ではその発現が認められなかった。一方、上皮異形成では79%に核に発現が認められ、口腔扁平上皮癌では主に核に発現しているものが5%、主に細胞質に発現しているものが10%で、核および細胞質に発現しているものが55%であった。 Angiogeninの臨床病理学的意義について、核でのangiogeninの発現で比較したところ、年齢、性別、腫瘍径、リンパ節転移、分化度、浸潤様式、血管侵襲と有意な相関は認められなかった。しかし、陽性群では腫瘍血管密度が高い傾向にあった。また、陽性群では有意に低い生存率であった。さらに、多変量解析を行った結果、angiogeninは独立した予後規定因子であった。 以上から、angiogeninが口腔癌の予後を規定する因子の1つであると考えられた。
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