2004 Fiscal Year Annual Research Report
新規光感受性物質による光線力学治療(PDT)の口腔腫瘍細胞の増殖抑制効果
Project/Area Number |
16592030
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
吉田 憲司 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (40183701)
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Keywords | 光線力学治療 / PDT / アポトーシス |
Research Abstract |
「目的」:近年、ポルフィマーナトリウム(フォトフリン^<【○!R】>)に代わる副作用の少ない第二世代の新規光感受性物質としてタラポルフィリンナトリウム(レザフィリン^<【○!R】>)が開発され、小型、簡便仕様の半導体レーザー装置と組み合わせた光線力学治療(PDT)が初期肺癌の非観血的治療法として注目されている。しかし、舌癌に対する本法の抗腫瘍効果については殆ど知られていない。本年度はフォトフリンPDT感受性および非感受性ラット舌癌細胞株モデルを用いて、レザフィリンPDTの殺細胞効果を検討した。 「方法」:細胞株としては当教室で樹立した4NQO誘発ラット舌癌細胞株RSC3E2(角化型扁平上皮癌)およびRSC3LM(低分化型扁平上皮癌)を用いた。RSC3E2細胞株は培養条件下においてフォトフリンPDTにより強いアポトーシスが誘導されるのに対し、RSC3LM細胞株はフォトフリン抵抗性細胞株であることを確認している。光感受性物質としてはレザフィリンを、励起光源としては波長664nmの半導体レーザー装置を用いた。アポトーシスはTUNEL法およびCaspase3/7asssayにより評価した。 「結果」:今回の検討によりRSC3E2細胞はフォトフリンと同様にレザフィリンにても濃度依存的(1-50ug/ml)に強いアポトーシスが誘導されること、またフォトフリン抵抗性のRSC3LM細胞でも比較的高濃度のレザフィリンではアポトーシスが誘導され細胞死がおきることを見出した。このことから、レザフィリンによるPDTは小型、簡便で副作用が少ないにもかかわらず、フォトフリンによるPDTに匹敵する殺細胞効果を有すること、さらにより広い抗腫瘍スペクトルを有する可能性が示唆された。 今後、さらに至適条件の検討およびin vivoにおける抗腫瘍効果の検討を進める必要がある。
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