2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規光感受性物質による光線力学治療(PDT)の口腔腫瘍細胞の増殖抑制効果
Project/Area Number |
16592030
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
吉田 憲司 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (40183701)
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Keywords | 光線力学治療 / PDT / 口腔腫瘍細胞 / タラポルフィンナトリウム |
Research Abstract |
「目的」近年、第二世代の新規光感受性物質としてタラポルフィンナトリウム(商品名レザブイリン)と、小型、簡便な半導体レーザーとを組み合わせた光線力学治療(PDT)が初期肺癌の非観血的治療法として注目されている。しかし、舌がんに対する本法の抗腫瘍効果については殆ど知られていない。昨年度はフォトブリンPDT感受性および非感受性ラット舌がん細胞モデルを用いて、レザフィリンPDTの有効性を明らかにした。今年度は、より臨床に近いヒト舌癌細胞株を用いてPDTの検討を行った。「方法」細胞株は、ヒト角化型および非角化型舌癌細胞株HSC-2、HSC-3を用いた。光感受性物質としてはレザフィリン(明治製菓)を、励起光源としては波長664nmの半導体レーザー(松下電工)を用いた。上記細胞株をマウスの皮下に接種し、レザフィリン10mg/mlを尾静脈から投与し、48時間後にPDレーザー(100J)によりPDTを行った。接種1週後にマウスを屠殺し、腫瘍体積を計測し抗腫瘍効果を検討した。また、BrdU染色により増殖への影響を検討した。「結果」レザブイリンPDTにより両細胞ともDay2では強いアポトーシスの誘導が見られ、Day7の腫瘍体積は5匹中3匹では約1/10に縮小し、HSC3の1匹では治癒が認められた。しかし、多くはDay5ですでに遺残腫瘍細胞の再増殖がおこり、Day7ではコントロールと変わらないBrdUの取り込みが認められた。「考察」レザブイリンPDT法はin vivoにおいても両ヒト舌癌細胞の皮下腫瘍に対し強い抗腫瘍効果を有すること、副作用も照射後の体重減少が10%程度にとどまるなど比較的軽微であることが明らかになった。しかし、一回の治療では遺残腫瘍細胞の再増殖がおこり効果が限定的であることも明らかとなった。今後、PDTの複数回治療や抗癌剤との併用などについて検討する必要がある。
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