2005 Fiscal Year Annual Research Report
認知スタイルと達成動機を考慮した矯正患者指導プログラムの開発・検討
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16592051
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
永田 順子 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (50264429)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶原 和美 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (40243860)
成尾 鉄朗 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (70244233)
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Keywords | 認知 / セルフエフィカシー / 心理社会的特性 / セルフケア |
Research Abstract |
目的:歯科矯正治療を順調に進めるには、患者自身の十分な理解と協力が必須である。しかし、日常臨床では、患者によるセルフケアが不十分なことも少なくない。本研究では,矯正患者のセルフケア行動の達成度に影響を及ぼす要因を解明し、患者の認知・動機づけの変容をもたらすための指導プログラムを構築することを目的とした。 対象と方法:対象は、中学生以上の歯科矯正患者のうち、研究の主旨・内容を文書と口頭で説明して承諾を得られた者60名。咀嚼、発音、審美および心理社会的障害と、矯正治療の必要性の認知度について、質問紙調査を行った。また、それぞれの客観的評価として、顎運動、筋電図、構音、心理社会的特性の調査を行った。また、一般性セルフエフィカシー尺度を用いて達成動機を評価し、患者の性格特性や気分、ストレスコーピングのパターンおよび実際のセルフケア行動との対比を行った。これらの分析から、患者の認知・動機づけの変容をもたらすための指導プログラムを構築し、その効果を調べた。 結果:患者の咀嚼および発音に対する認知は咬合接触や咬合圧、咀嚼能率などの客観的評価と一致していたが、審美においては、客観的評価より心理社会的特性との関連が強かった。心理社会的障害の認知は不安や抑鬱と関連した。障害と矯正治療の必要性に対する認知が、セルフエフィカシーの高さと強く関連していた。矯正治療の効果の認知は、セルフエフィカシーを向上させた。また、セルフエフィカシーはストレスコーピングの積極性(問題志向)と有意な正の相関を示し、消極性(情動志向)と有意な負の相関を示した。セルフケアの達成度は、矯正治療に対する認知、セルフエフィカシー、ストレスコーピング、および心理社会的特性と有意な関連を示した。これらをふまえた指導プログラムを構築し、再指導を行ったところ、セルフエフィカシーとセルフケアの達成度は有意に向上した。
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Research Products
(5 results)