2004 Fiscal Year Annual Research Report
薬物誘発性歯肉増殖症発症におけるα2インテグリン遺伝子多型の関与
Project/Area Number |
16592068
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
片岡 正俊 徳島大学, ゲノム機能研究センター, 助教授 (20224438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 俊彦 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (10127847)
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Keywords | 薬物誘発性歯肉増殖症 / カルシウムチャンネル阻害剤 / 一塩基多型 / 遺伝子多型 / 歯周疾患 |
Research Abstract |
線維芽細胞をはじめ細胞膜上で発現するα2インテグリンは、I型コラーゲンの細胞膜上受容体として働く。ところで、薬物誘発性歯肉増殖症の発症機序として、歯肉結合組織中の線維芽細胞膜上で発現するα2インテグリン発現抑制による歯肉結合組織でのI型コラーゲン線維の分解抑制が考えられる事を、我々は既に報告している。ところで、薬剤の副作用発現は遺伝子多型により規定されることが知られている。α2インテグリンの一塩基多型として+807C/Tが知られており、Tアレルでは血小板上で同インテグリンの発現量は多く、Cアレルでは少ない。そして、健常人においても血小板上でのα2インテグリン発現量は多型に依存して各個人間で5倍程度の差が存在する事が知られている。この事から、Cアレルを有するヒトは歯肉線維芽細胞膜上でのα2インテグリン発現量はTアレルの場合よりも少ないと予想され、カルシウムチャンネル阻害剤、フェニトイン、サイクロスポリンAなどの薬剤の服用による細胞膜上でのα2インテグリン発現の減少はTアレルよりも大きくなり、結果的に線維芽細胞によるコラーゲンファゴサイトーシスを介するI型コラーゲン線維の分解は大きく抑制され、歯肉結合識中にコラーゲン線維が蓄積する事で歯肉増殖症が発症すると考えられる。 そこで我々は、α2インテグリン+807C/T遺伝子多型と薬物誘発性歯肉増殖症の相関を検討するため、152名の少なくとも1年以上カルシウムチャンネル阻害剤服用している者を選択し(86人は歯肉増殖+、66人は歯肉増殖-)末梢血を用いて、ダイレクトシークエンス法によりα2インテグリン+807C/T遺伝子多型を調べた。x2乗検定を行ったところ、Cアレルは歯肉増殖群で有意となり(オッズ比2.42、95% CI=1.49-3.94,p=0,0003)、α2インテグリン+807Cアレルは薬物誘発性歯肉増殖症における遺伝危険因子であることが示された。
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