2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16592073
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
古市 保志 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (80305143)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
町頭 三保 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (80253897)
吉永 光裕 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教授 (00221672)
和泉 雄一 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (60159803)
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Keywords | 歯周病 / 早産 / 切迫早算 / サイトカイン / 口腔衛生指導 / 出産 |
Research Abstract |
前回の我々の研究では、切迫早産妊婦において歯周組織の健康状態の悪化とそれに伴うIL-8やIL-1βなどのサイトカイン濃度が血中で上昇していたこと、また早産妊婦では血清中サイトカイン濃度のさらなる上昇がみられたこと、が明らかにされた。このことから、歯周組織の悪化がサイトカイン産生を介して妊娠維持機構に影響を及ぼし、子宮筋の早期収縮を誘発し切迫早産や早産の発現に至っている可能性を示唆した。今回の我々の研究では、切迫早産妊婦に2週間に3回の口腔衛生指導を行うことで、歯周組織の状態にどのような変化が生じ、またそれが出産状況にどのような影響を及ぼすかを検索することを目的としていた。鹿児島市内の病院の産婦人科に入院中の妊婦に、全身に関する項目(年齢、身長、体重、喫煙、血圧、経産の有無、早期低体重児出産経験の有無、投薬の有無)について問診を行い、残存歯数とカリエス歯数の診査、およびプラーク付着量、歯肉炎、プロービング時の出血、歯周ポケットの深さ、臨床的な付着の位置の計測など、口腔内の診査を行った。また、歯肉縁下プラークと末梢血の採取を行った。その後、プラークを染色し、プラークの付着部位を妊婦さんに確認し、歯ブラシ、デンタルフロスを用いて、口腔清掃指導を、行った。このような指導を1週後、2週後の計3回行い、再び、前述した口腔内診査を実施した。出産後、出産時の妊娠週数、および新生児の体重について追跡調査を行った。また、歯肉縁下プラークは、歯周病原菌であるPorphyromonas gingivalis, Tannerella Forsythensisについて、血清についてはIL-8,IL-1βの濃度を計測した。 これまで、69名の入院妊婦が健診を受け口腔衛生指導を受け、56名が出産を終えている。その内訳は、多胎19名、産婦人科疾患11名、切迫早産妊婦26名であった。口腔衛生指導の前後に2度の健診を受けた34名の入院妊婦では、歯周組織健診結果に有意な改善が見られた。また、原因の同定できなかった切迫早産入院妊婦においても、同様の改善が観察された。原因の同定できなかった切迫早産入院妊婦11名は最終的に、5名が正期産、6名が早産で出産を終えていた。その11名の被験者について口腔衛生指導前後における歯周組織健診結果を比較・検討すると、正期産で出産を終えた母親では、プラークの付着状態、皮肉炎の程度が有意に改善していたが、そのような改善は、早産で終わったグループでは認められなかった。 今回の研究から、個別に行われた入院妊婦に対する口腔衛生指導によってグループ全体では口腔内の健康状態が改善していたが、早産に終わったグループでは改善が有意でなかったことが明らかにされた。
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