Research Abstract |
1.Saos2およびUMR106骨芽細胞様細胞に,腫瘍壊死因子(TNFα;10ng/ml),プロスタグランジンE2(PGE2;3μM),メカニカルストレスとして静磁場(800gauss)を作用後,全RNAを抽出し,RT-PCRまたはReal-time PCRを行った。TNF-αは12h後にSaos2細胞のBSPmRNA量を増加させ,PGE2は12h後,静磁場は24h後にUMR106細胞におけるBSPmRNA量を増加させた。 2.ルシフェラーゼベクターに,長さを調節したBSPプロモーター遺伝子を挿入し,Saos2またはUMR106細胞に導入し,TNF-α,PGE2または静磁場で刺激を行った。TNF-αはBSPの転写活性を変化させなかったが,PGE2(12h)および静磁場(24h)はBSPプロモーターの-ll6〜+60塩基対を含むコンストラクトの転写を上昇させた。BSPプロモーターの-116塩基上流には,逆方向のCCAAT配列,cAMP応答配列(CRE),FGF2応答配列(FRE),Pit-1配列が存在する。FREおよびCRE配列に2塩基の変異を挿入すると,PGE2の効果が消失し,FREおよびPit-1配列の変異では,静磁場刺激によるルシフェラーゼ活性の上昇が認められなかった。以上の結果より,BSPプロモーター中のFREとCRE配列を介してPGE2による転写調節が,FREおよびPit-1配列を介して静磁場によるによる転写調節が行われていると考えられた。 3.Saos2細胞をTNFαで刺激すると,Cbfa1およびCOX-2mRNA量が増加し,COX-2プロモーター中の,CREおよびNFκB配列への核内タンパク質の結合量が増加することから,TNF-αは,骨芽細胞の分化に重要なCbfa1転写因子とCOX-2の発現を介して,間接的にBSPのmRNA発現量を増加させていると考えられた。
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