2006 Fiscal Year Annual Research Report
唾液中のラクトフェリン量-歯周病リスクファクターに関する研究-
Project/Area Number |
16592084
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
兼平 孝 北海道大学, 北海道大学病院, 講師 (90194935)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 学 北海道大学, 大学院歯学研究科, 教授 (40157904)
高橋 大郎 北海道大学, 大学院歯学研究科, 助手 (80312370)
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Keywords | 唾液 / ラクトフェリン / 歯周病 / 個人差 |
Research Abstract |
平成16〜18年の3年間で、我々の所属する施設の外来またはフィールドにおいて、351名の被検者から全唾液を採取して、サンドイッチ法によるELISA法にてラクトフェリンを定量し、年齢層別に評価した。また、40歳以上の被検者では歯周病の者と健常な者とのラクトフェリン量を比較した。 (結果)1)全年齢層におけるラクトフェリン量は、0.05〜142μg/mLと値の幅が大きかった。どの年齢層においても個人差が大きかった。2)0歳代、10歳代、20歳代のラクトフェリン量は、いずれも50歳代以上のすべての年齢層のそれと有意差が認められた。30歳代、40歳代のラクトフェリン量は60歳代、70歳代以上のそれと有意差が認められた。3)ラクトフェリン量は加齢とともに増加する傾向が認められた。60歳代、70歳代以上のラクトフェリン量は、0歳代から40歳代のすべての年齢層のそれに比較して有意に増加していた(p<0.05)。4)全唾液中のラクトフェリン量と歯周病との間には、有意な相関は認められなかったことから、ラクトフェリン量は歯周病のリスクファクターではないことが明らかとなった。 (考察)本研究の結果では、ラクトフェリン量は加齢による減少は認められなかったばかりか、60歳代以降においては有意な増加傾向が認められた。また、歯周病の罹患状態とも何の関連も認められなかった。このことからラクトフェリンは、口腔内免疫系において、どの年齢層においても関与している因子であることが示唆された。しかし、今回の研究はあくまでも横断的研究による結果であり、ラクトフェリン量が年齢によって変化するかについては、今後縦断的研究が必要である。また、唾液中のラクトフェリン量に影響を与える因子についても、今後更なる研究が必要である。
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